韓国ドラマ「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」第六週で冷酷な殺人者ウォンピョが力尽きる!その第24から26話のネタバレあらすじ、感想も!!

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ドラマ

こんにちは。カナエです。今回もテレビ東京放送の韓国ドラマ「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」(第24~26話)について書きたいと思います。

育ての母、サ氏夫人を失ったタルはピョンガンから去り故郷に戻っていく 

テレ東で平日月~金曜 朝8時15分から放送中

キャストとこれまでの話

<第1,2話>  <第3~5話>

<第6~8話>  <第9~11話>

<第12、13話> <第14~16話>

<第17、18話> <第19~21話>

<第22、23話>

ドラマ(第24~26話)のあらすじ(ネタバレ)

【第24話】

へ・ジウォルは順奴部族長のウナムから銀山の話を振られます。 

なんと返還された土地に銀の採れる山があると?

その通りです 銀脈の長さからしてその規模は・・

それで王女様はなんと? 従来銀脈のある山は国のものとなっておりますが

まだ申し上げていません この時局では誰が味方か先が読めませんから 我々としては部族を守ることが一番では?

それはそうです

それでこうしたことに精通しているへ・ジウォル殿を内密にお呼びしたのです

ジウォルは咳払いをしてからウナムに説明しました。

銀山から銀を採るには採掘、運搬、精製と実に手間がかかります 我ら二人で密かに進めてみては如何ですかな

そうですね・・

二人が話しているとチン・ピルが部族長の居室にやってきました。

やあ、へ・ジウォル殿、サ・ウナム殿もおいでか

私は用事があるのでこれで

ウナムは居室を出ていきました。

何と不躾な・・ ずいぶん順奴部族長と懇意なようですな

チン・ピルはジウォルに皮肉を言いました。

懇意? ただ雑談をしていただけですよ

ジウォルは誤魔化します。するとチン・ピルはジウォルの肩を掴みました。

私やコ・ウォンピョ殿の知ってはいけない話でも?

一体何をおっしゃるのです? 桂婁部族の手下でもないのに雑談まで報告しろと言うのですか? 私だって自尊心がある!

ジウォルは怒って行ってしまいます。

自尊心?

***

チン・ピルはチン王妃のいる寺に駆けつけます。

王妃!

どうしました?

王妃の言う通りだった へ・ジウォルはあの怪しい様子からして王の側についたのだ

まあ!

どうしたものか 桂婁部族に加担すれば我が一族だけ根絶やしにされるやも どうすれば良いだろう?

決行は近いのですよね?

王室かコ・ウォンピョか、どちらか選ばねばならん

王妃は王宮の塀越しにヒョン妃に可愛がられているコンム王子をこっそり眺めます。そして心を決めるのでした。

***

ウォンピョに呼ばれます。

一体何用でしょう 王は薬に酔い正気ではないはずですが

ゴンはウォンピョに言いました。

王は己の命を縮めたいようだな 今日の夜決行だ よいな

ウォンピョは息子に命じます。

昼は臣下として王宮に入り夜にはその主となる

***

ウォンピョは王宮に行きます。

コ・ウォンピョ様がおいでです

太監が王に伝えました。

これはコ・ウォンピョ殿か そなたが呼んだのか?

王は酩酊した様子で笑いながらヒョン妃に聞きました。

王様がお呼びになったのです

余が? それは不思議な話だ ともかくかけてくれ

(だいぶ薬効いているな)

コ・ウォンピョはほくそ笑みながら食卓につきます。

それにしても余は何故そちを呼んだのだ? 用件があったはずなのだが・・

お急ぎでなければ改めます お休み下さい

そうだ! やっと思い出したぞ! 王宮にうろついているネズミを捕らえるためだった

王が話すと兵が太監を連れてきました。

離せ!

太監は王の前に引き出されます。すると王の態度がガラリと変わりました。

王様の薬のことを密告するネズミを捕らえました

兵を連れたピョンガン(キム・ソヒョン)が来て王に告げました。ピョンガンは太監に剣を抜きます。

これまでウォンピョ殿から餌を貰っていたか?

王様! 濡れ衣です どうか・・

立ち上がろうとした太監をピョンガンは斬りました。

きゃあっ!

ヒョン妃が悲鳴を上げます。ピョンガンは血のついた剣をウォンピョに向けました。

ヒョン妃様 ご退出を 今から逆賊の罪を問います

ヒョン妃は走り出ていきます。

***

父上が王宮で捕らわれたと?

太監様は打ち首に

知らせを聞いたゴンは顔を強ばらせます。そして部下の兵に命じました。

消奴部族と灌奴部族に”武装して王宮の前に集結せよ”と伝えろ

承知しました

***

へ・ジウォルは娘を呼びました。

モヨン

お父様、消奴部族も出兵したのですか

モヨンはジウォルに訊ねました。

今送った たがコ・ウォンピョ殿が罠にかかったようなのだ

モヨンは驚きますが父をなだめます。

コ・ゴン様が無事なら大丈夫です あの方ならやり遂げてくださいます

***

ゴンの軍は消奴部族の軍と合流して王宮の前にやってきます。王宮ではピョンガンとウナムたちが待ち構えていました。

私兵を引き連れて王宮に来るとは逆賊とみなすぞ

ピョンガンはゴンに告げました。

逆賊ですと? 父が王宮で捕らえられたのです じっとしていられません

王様とのお話が終われば帰るはず 兵を連れて引き揚げなさい

ここまで来たので父を連れて帰ります

引き揚げろと言った

ここで待ちます 

二人は睨み合います。

***

コ・ゴンが私兵を率いて来たようだ

王はウォンピョに言いました。

見た目より親孝行な息子でして

たった一言”武器を捨てろ”と命じれば多くの命が助かる

ウォンピョは笑います。

その命は王様がお助けください

それほどまでに王座が欲しいのか?

その座にあまりに長くおられたのでは? 王様が退かれれば反乱は収まりましょう

王はウォンピョの肩を叩きました。

なんと哀れな 灌奴部族がどちらにつくと思うか?

***

灌奴部族は王の側につきました。

王子の母方の一族が王室に刃向かうとでも?

ピョンガンはゴンを嘲ります。

チン・ピルは王妃に訴えていました。

我らはあの王女に騙された 消奴部族は王室でなく桂婁部族に加勢したのだ!

そんな・・

今からでもコ・ウォンピョの側に?

今更寝返ってもあの方は信じません このまま王室につきましょう 我らがコンム王子のためにも

コンムのためだ そうするしかないな

チン・ピルも同意します。

ウナムが王に知らせに来ました。

王様、灌奴部族が我々の側につきました

ウォンピョは驚愕してウナムを見ます。

ウォンピョ殿、まだわからぬか? 形勢は余に傾いた

王はウォンピョを見据えました。

コ・ウォンピョ、息子と二人で死ぬか、一族皆殺しか そちが選べ

王は告げました。

***

ウナムが兵を率いるゴンにウォンピョの命を伝えました。

私兵を退かせ投降せよ お父上のご命令だ

兵たちはざわめきます。

偽りだ 動揺するな!

ゴンは叫びました。しかしピョンガンは言いました。

もう終わりだ 師匠

いいえ それはあくまでも父の意思です 私はこれからです

ゴンは兵たちに命じました。

武器を持て!

ゴンは剣を抜きます。ピョンガンも剣を抜きました。

もう諦めろ

私を殺せば終わる

それはしたくない

では私が終わらせましょう

二人は戦い始めます。すると兵たちも斬り合い、戦いが広がります。ピョンガンがゴンの剣の勢いに押されていると矢が飛んで来てゴンを射ました。

タル・・!

タル(ナ・イヌ)達が討伐を終えて戻ってきたのでした。戦いはタルの軍に制されて終わりました。

***

モヨンはジウォルを新羅に逃がそうとします。

お父様をお連れせよ

モヨンは部下に命じました。

お前はどうする?

へ・ジウォルはモヨンに訊ねました。

お救いせねば

コ・ゴン殿か? もはや救いようがない どうする気だ

この者たちと行って下さい

だがどこへ行くかもわからぬではないか

養女にしてくださった恩に報いたいのです 信じてください

部下はジウォルを連れて新羅に向かいます。

***

ウォンピョとゴンは兵と共に牢に入れられます。

これが父上の望みですか? ”死を恐れず戦え”と言うべきでしょう

我らが死んでも我が一族は残さねば

ゴンは座り込んだウォンピョの傍に片膝をつきます。

父上! 父上あってこその一族です そうではありませんか?

ゴンは無言を貫くウォンピョの横顔を見つめ、立ち上がりました。

私は父上のようにしくじりません 生まれる場所はともかく死に場所は自分が決めます

ゴンは涙を流します。

***

新羅の真興王は報告を読みほくそ笑みます。

高句麗の内紛が面白くなってきた あやつらの混乱に乗じて攻め込むのが上策 阿旦山城を取り戻す好機だ

すでに兵は王命を待っております

キム・チャスンは話しました。

直ちに出兵し高句麗を追い払え

承知しました

あの者は外に?

通せ

ジウォルが新羅王の前に連れて来られます。ジウォルは跪こうとしますが王は止めました。

その必要はない そちは高句麗の消奴部族長へ・ジウォルか?

はい、さようでございます

王は玉座から降りるとへ・ジウォルに近づきました。

新羅によくぞ来てくれた 理財に明るいそちに力になって貰おう

身に余るお言葉です

約束しよう いずれ故郷に錦を飾らせてやる

王は笑います。

***

タルは血だらけの体を風呂で洗います。ピョンガンが来てタルの肩に触れました。

触るな 俺は血生臭いだろ

タル・・

カジン 俺はバカなのか

・・誰が言った?

俺だ 

それこそバカみたい

世のみんなが俺をバカにしてもお前がしないならいい

ピョンガンはタルの体にお湯をかけます。

美味かった 二人で掘った井戸の水・・ すごく澄んでた

タル・・

ピョンガンの目に涙が溢れます。

今もそうかな

そうね・・きっと澄んでる

タルは風呂の水を口に含みます。

これはあの水と違う 血の水だ

ごめんね・・ タル 全部私のせい

タルも涙を流します。そしてピョンガンを見ました。

謝ることはない お前が行けと言えば行く 止まれと言えば止まる

タル・・!

ピョンガンはタルにキスしました。

***

コ・ウォンピョとコ・ゴンはもちろん私兵たちも皆投獄しました

キム・ピョンジは王に報告しました。

国を支えるべき桂婁部族が謀反を企むとは

絶奴部族のヨン・チョンギは怒ります。

ただちに斬首刑にすべきです

あの一族はかつて王族の血筋であった 首をはねるのは容易だが高句麗の体面を保つのは難しい

しかし王様・・

消奴部族はまだか?

王はウナムに訊ねます。

ヘ・ジウォル殿と娘の行方が知れず、探させています

王はチン・ピルを見ました。

かつての王族の血筋とはいえ謀反を企てた罪は重いものです

チン・ピルは昔の同志を批判します。すると隣りにいたヨン・チョンギがチン・ピルの肩に手を置きました。

ごもっとも チン・ピル殿の言う通りです

馴れ馴れしいヨンにチン・ピルは戸惑います。

王室の厳正さをお示しに

ウナムも王に進言しました。王は悩ましげに目をつむります。

***

王妃様は養生を早めに終え戻られた、それ以外のことは口外なさらぬよう

ピョンガンは王妃に話しました。

私と父を巧妙に騙して有頂天のようだな

ならばコ・ウォンピョと共に牢に入りますか?

なんと?

王妃が困惑していると王がやってきました。

王妃、具合は良くなったか

はい、王様のおかげで回復いたしました

それは良かった 王子が待ちわびておるぞ

恐れ入ります

コ親子の処決はどのように?

ピョンガンは訊ねました。

明日夜が明け次第斬首刑に処す

王の言葉に王妃は青ざめます。

***

タルは太子と弓を射ます。

義兄上、戦いで百人以上も斬ったそうですね すごいな 気分はどうでした?

しかしタルは暗い目で太子を見ます。

人を殺す気分を知りたいですか?

タルは太子の腕を掴んで弓を射る姿勢をとらせます。そして女官たちに矢を向けました。女官たちは悲鳴をあげます。

矢を射る時は胸を空にし腹に力を そして狙う

義兄上、何をするんだ やめて

狙いは首か胸、一発でしとめるのです

将軍!

兵が止めようと近づきます。しかしタルは矢を射ました。矢は女官たちからそれて柵に当たります。

重い沈黙の中タルは弓場を出ました。

***

サ氏夫人ウォルは都にやってきました。

来るなら前もって知らせてよ

順奴部族の村に到着した二人はホンメから叱られます。

そうすれば輿でも荷車でも迎えにやったのに 要らぬ苦労をしてさ

輿に乗るような身分じゃないよ

高句麗の王女様の姑で将軍様の母親でしょ この前もタルが逆賊を討伐して大きな手柄を立てたのよ

そうだよ

ホンメの話に村人たちは頷きます。

討伐?

サ氏夫人は眉を寄せます。

ええ すごかったのよ

そうかい・・

おや、これは私の作った杖ですね

ドゥクが夫人の使っている杖を見て言いました。

細くて持ちやすいです

夫人は愛想良く答えました。

お体は何ともないですか?

どこか悪かったら都まで来ませんよ

二人が笑っているとタルがやってきました。

タル兄ちゃん!

ウォルが駆け寄ります。

母さん・・

タルかい?

夫人は立ち上がります。

息子や 抱きしめさせて

母さん!

二人は抱き合います。

会いたかったよ 私のタル!

母さん! 俺もだ

タルは涙を流します。

なんだい 高句麗の大将軍様が泣くなんてみっともないね

そう言いながら夫人はタルをきつく抱きます。

苦労したんだね よしよし

***

モヨンは天誅房のアジトにやってきます。

頭に会いに来た

モヨンはジュンソの所へ案内されます。

牢破りをしろだと?

モヨンの話にジュンソは驚きます。

お前は計算高いわりに無茶を言う コ・ゴンとの約束は王を殺すことだけだ あの親子を助ける義理などない

状況が変われば約束の中身も変わるものだ 牢に連れて行く刺客をよこせ

この私に命じるのか?

命令ではなく答えだ

モヨンは笑います。

お前が死なずに済む唯一の答え 二日以内に解毒薬を飲まねばどうなると? 体中の穴から血が噴き出して死ぬだろう

薬を差し出すまで拷問することもできるぞ

ならばやってみろ 私が音を上げるか その前にお前が死ぬか

***

タルはサ氏夫人を王宮に連れてきます。

お義母さん

あら! 随分久しぶりだね どこもケガしてないかい?

はい

ピョンガンに触ったサ氏夫人はピョンガンが甲冑を付けているのに気づきます。しかし何も言わず腕を叩くのでした。

***

サ氏夫人は木蓮堂でお茶を飲みます。

温かくて美味しい

すみません もっと早くお招きすべきでした

ピョンガンは謝ります。

私が王宮に入れるなんて夢みたいだよ

ここが俺達の家だ 広くてかっこいいだろ

そうみたいだね それにいい匂いがする

せっかくですから寛いでください

くつろぐだなんて・・ ねえ、王宮で騒ぎが起きたそうだね

ピョンガンは戸惑います。

収まりました タルが頑張ってくれたんです

討伐だかなんだかしたそうだね

二人は驚きます。

どこで聞いた? ホンメおばさんか?

なんでいきなり怒るんだい

怒ってないよ!

タル

ピョンガンが首を振ったのでタルは黙ります。

この際お義母さんも都に住みませんか? 家はご用意します

ピョンガンは話題を変えました。

要らないよ ボロ家でも自分の家がある 気持ちだけ受け取っておく

でも・・

もういいよ 母さんが嫌がってる

タルが言いました。そこへコンソン夫人が来ました。

王女様

コンソン夫人はサ氏夫人を見て挨拶しました。

遠路はるばるようこそ

家族のようにしている乳母です

サ氏夫人は立ち上がりました。

そうでしたか ありがたいことです

ただの女官です どうかお気を楽に

コンソン夫人はピョンガンを見ました。

あの王女様、王様がお義母様をお呼びです

***

サ氏夫人は王と体面します。

オン将軍を育てた夫人に会いたかった

王は夫人に言いました。

恐れ入ります

夫人は恐縮します。

苦境に立った私を助けてくださいました 家事も厳しく教えて頂いて

ピョンガンは笑います。

カジン

夫人は焦って言い訳します。

いえ、王女様、あの時は・・

王は高笑いしました。

怖いものなしの王女をこき使う姑がいたとは! 目が不自由なのに大したものだ 高句麗の女人が見本とすべき母親と言えよう

王はサ氏夫人を褒めました。

故に装身具や反物など、褒美を取らせようぞ

私には身に余るお言葉です

夫人は王に礼を言いますが、遠慮がちに切り出しました。

褒美の代わりにこの老いぼれにはささやかな願いがございます

願い? 申してみよ なんでも聞こう

サ氏夫人はタルに顔を向けました。

息子のオン・ダルが私と一緒に帰れるようお取り計らいください

王は驚いてピョンガンを見ました。

母さん?

地を駆け回り空を見ながら育った子です 国には十分尽したのでこれからは山に戻って自由に暮らさせてやってください

サ氏夫人の話に王は困惑します。

***

木蓮堂に戻りながらタルはサ氏夫人を怒りました。

俺がいつ帰りたいと言った? 妻も友達もここにいるし、俺は元気にやってるぞ!

タル、やめて

ピョンガンが止めます。

やめるのは母さんの方だ

お前のことはわかってる 偉くなっていい暮らしをしても喜ぶような子じゃないだろ 偉そうなことは言えないけどお前の気を楽にさせてやりたいんだ 母親だから

サ氏夫人は言いました。

必要ない 俺はあんな山奥に帰る気はない 余計なことを言うな

タルは怒って行ってしまいました。

タル

夫人は咳き込みます。口を押さえた夫人の服に血がついたのを見てピョンガンは驚きます。

お義母さん・・

***

チンは順奴部族の村を出ていこうとします。

出ていくってどこに行くんだよ?

プンゲが止めようとします。

わかんない でもここでなきゃいい

チン、ちゃんと話そう

必要ない なにもかもうんざり

ちょうどタルが来たのでチンは挨拶しました。

元気でね

チンは出ていきます。タルはプンゲを見ました。

どうしたんだよ

プンゲは顔を反らせます。

黙ってないで言えよ

ほとほと愛想が尽きたって お前と俺 カジン みんなに

プンゲは吐き出すように言いました。

探さないでくれってさ

だからって行かせるのか?

どうしろって言うんだよ? 行くって聞かないのに

プンゲは行ってしまいます。

おい! プンゲ

***

タルはチンを追います。すると暫く歩いていたチンは男達に囲まれました。

お頭がお呼びだ

私は用はない

ここで死にたいか 大人しく来い

チンは無理やり連れて行かれます。

どこに連れて行く気だ?

タルも追いかけます。

***

今晩王の息の根を止める

ジュンソはチンに話しました。

機会をやるゆえ刀を持て

しかしチンは拒否しました。

嫌です 私は突厥に帰ります

カジンは裏切りテモは死んだ 天誅房の跡継ぎはお前だ お前は育てた恩に報いぬつもりか?

その恩があるからあえて言います 王宮に入っても失敗するでしょう カジンが待ち構えていますから

チンの話を聞いてジュンソは笑います。

そうか だがお前はカジンから離れた ここで待て 天誅が下れば気も変わるだろう

チンを縛るとジュンソたちは出ていきます。

***

ピョンガンは木蓮堂でサ氏夫人を床につかせ薬を飲ませます。

咳に良く効く薬です 飲みきって下さい

自分の病はわかってる だから最後にタルの声を聞こうと都まで来た

サ氏夫人は告げました。

お義母さん

タルの奴、いったいどうしたんだい? 私の知ってるタルの声じゃない 雰囲気も荒っぽくなった

辛い目に遭ったんです 私のせいで・・

誰のせいでもない 世の荒波ってやつさ

すみません

この老いぼれが”帰ろう”とせがんでもタルはびくともしない あの子は一途で王女様しか見えない馬鹿者だ

サ氏夫人はピョンガンの手を取りました。

昔オン・ヒョプ将軍様と約束したんだよ どんなことがあってもタルを守ると 私がその約束を守れなくなったら王女様が守って下さい

ピョンガンは泣きながら頷きます。

はい お義母さん

サ氏夫人は見えない目でピョンガンを見つめて笑いました。

うちのカジンは本当にきれいだね

【第25話】

タルは縛られたチンの縄を解きます。

タル、王宮が危ない! 今晩天誅房が襲撃する

なんだって?

私が卑怯だった お頭の動きを知ってたのにカジンに黙ってたの 最近憎らしくて

チンは明かします。

卑怯でもいい その代わり誰にも言うな サ・ウナム様に私兵を率いて王宮に来るように伝えてくれ

あんたは?

カジンに知らせる 急げ

***

夜になって天誅房が王宮の門に潜入してきます。

天誅房が?

タルの話にピョンガンは驚愕します。

順奴部族に援軍を頼んだし王宮の警備も強化させた 

残ってる刺客は多くない 門をくぐり抜ける前に全滅するはず なのに乗り込むなんて

死を覚悟したやつに怖いものなんてない

サ氏夫人がうめきながら起き上がりました。

何かあったのかい?

まだ寝ててください

ピョンガンは言いました。

日も暮れたようだし帰らないと

今はだめだ 母さん

二人が止めているとにわかに王宮が騒がしくなります。天誅房が王宮内に侵攻して来たのでした。

***

モヨンは刺客に番人を倒させ牢を開けます。

来てくれたか

ゴンはモヨンに感謝してウォンピョに告げました。

先日お話した私の”友”で”思い人”です

とんだご苦労を

モヨンはウォンピョを労います。

大事によそ者を引き込むとは

大事を為すのに部族の違いが重要ですか

ゴンは反発します。しかしウォンピョはモヨンに剣を向けました。

お前は新羅の密偵だ コンがお前のためにコ・サンチョルを始末したことも知っているぞ

父上!

大事を為したらその首をはね新羅の王に送ってやる

それなら大事を成し遂げましょう 天誅房は王宮に入りました

モヨンは冷静に言いました。

***

ウォンピョたちは牢から出ます。

王を探せ! 寝所にいなければ他所に隠れたはず

ウォンピョはゴンたちに命じました。

父上は?

一人で行く所がある

ウォンピョは歩き去ります。ゴンはモヨンに言いました。

危険だから身を隠していろ 大事が済んだら会おう

ゴンは部下と走ります。

***

タルは抜け道にサ氏夫人を案内しました。

ここに隠れて騒動が終わるまで待っててくれ

タル・・

大丈夫 すぐ迎えにくる カジン、行くぞ

タルを追おうとするピョンガンの手をサ氏夫人は掴みます。

どうか気をつけておくれ

心配しないでください

二人は出ていきます。

***

王宮の中は死体が散乱していました。

お父様を探さないと

ピョンガンたちは急ぎます。

ウォンピョはチン王妃の居室にきます。王妃は王子を抱いて女官たちの後ろで守られていました。

王子を連れて皆下がれ

ウォンピョは命じました。

早く行きなさい

王妃は王子を連れて行くように女官に指示します。

***

ウォンピョは王妃と二人きりになりました。

刺客ごときの手にかけるわけにはいかぬ そなたはこの手で罰してやる

コ・ウォンピョ様・・

そなたは何故裏切った?

王女に騙されたのです

私の約束より王女を信じたのだな

母親として王子を守るためでした

王子か そなたはひたすら王子の心配ばかりだ

私を殺してください あなたになら喜んで斬られますから ですから王子だけは助けてください どうか・・

黙れ!!

ウォンピョは王妃の横の花を斬りました。

死んで償えると思うな そなたを永遠に許さぬ

ウォンピョは背を向け出て行きます。

***

王は刺客たちに襲われていました。ジュンソが王のもとに進み出てます。

太子を連れて逃げよ

王は兵たちに命じます。

父上

急げ

太子は連れて行かれます。

***

王とジュンソは向かい合います。

この瞬間を待っていた この手でお前を八つ裂きにしてやる

ジュンソは冷笑します。

かかってこい 先に貴様の首が飛ぶ

二人は戦います。王の兵とジュンソの刺客たちも戦う中、ジュンソは王の腕を斬りつけました。

うう・・

王は膝をつきます。兵たちは倒され王は為すすべもありません。ジュンソは王に近寄り言いました。

私の妻と子供がここに来ている お前の最期を見るために

ジュンソは刀を振り上げます。その時ジュンソの胸を矢が突きました。

お頭!

矢を射たのは太子でした。刺客は太子に向かいますがタルが来て刺客と戦います。ピョンガンは刺客を斬ると座り込んだジュンソに剣を向けました。

カジン・・

ピョンガンはその首を斬りました。

お父様 大丈夫ですか

ピョンガンは父親を抱き起こします。

太子! よくやった

ピョンガンは弟を褒めました。

”胸を空にし 腹に力を” 教わった通りにやった

太子はタルに話しました。

ご立派です お見事でした

タルは笑いました。

刺客が何故王宮の奥まで・・

王はうめきます。

とにかく外へ

ピョンガンたちは出口に急ぎます。

***

しかし外にはゴンと兵たちが待ち構えていました。

王様、ご存命でしたか

コ・ゴン、貴様・・

師匠が天誅房を送り込んだのか?

ピョンガンは訊ねました。

頭がしくじったようで

師匠! よくもそんな・・

太子が憤ります。

降参してください 丁重にご案内します

しかしタルが王に言いました。

お急ぎください 王様

タルはピョンガンを見つめます。

一緒に行け

ピョンガンは頷くと王たちと走ります。タルはゴンを睨みました。そして叫び声を上げながらゴンに斬りかかります。

お前なんかに負けはしない!

二人は激しく剣をぶつけ合います。

***

王宮には知らせを受けた順奴部族のウナムや絶奴部族のヨンが兵を連れて加勢に来ました。

ピョンガンと王と太子は兵を斬っているウォンピョに遭遇します。

王室一家が揃ってお出ましとは 探す手間が省けて実にありがたい

コ・ウォンピョは不敵に笑います。

コ・ウォンピョ!貴様よくも・・

父上

王は太子に止められます。

今更驚くことはない お前に預けていた高句麗を取り戻しに来ただけだ

黙らぬか!

太子が叫びます。兵たちも来てウォンピョに剣を向けました。

お父様と王妃様の所へ

ピョンガンは太子に指示しました。

姉上

王妃様と王子も太子が守りなさい 行ってください

ピョンガンは王に言いました。

王女・・

どうせみんな斬られる

ウォンピョは刀の血を指で拭いました。

死ぬ順番が変わるだけだ

ピョンガンはウォンピョに剣を向けます。

何をしている? 太子!

行くぞ!

王女・・

太子は王を連れ兵たちとその場を逃れます。

***

ピョンガンはウォンピョと戦います。

剣を捨てれば安らかに死ねるぞ

ウォンピョは笑います。

死ぬのはお前の方だ

やはりあの母親の娘だな

タルもゴンや兵たちと戦っていました。二人は互角に戦いますが徐々にタルはゴンを追い詰めます。

***

ピョンガンはウォンピョに押されて膝をつきます。ウォンピョは剣を振り上げますがピョンガンの剣がウォンピョの剣を飛ばしました。そしてピョンガンはウォンピョの肩と腹を斬りつけます。ウォンピョは力なく倒れました。ウォンピョの目にピョンガンの姿がヨン王妃とダブります。

復讐に来たか ヨン王妃・・

コ・ウォンピョ 高句麗は決してお前のものにはならぬ

ピョンガンはコ・ウォンピョの胸を刺しました。

***

タルとゴンが戦っていると部下がやってきてゴンに伝えました。

コ・ゴン様 急いで裏庭に ウォンピョ様が・・

部下二人はタルを剣で防ぎながらゴンを行かせようとします。

父上が?

ここはお任せを

ゴンは裏庭に急ぎます。

***

ゴンは倒れているウォンピョを茫然と見下ろしました。

父上・・

ゴンはウォンピョを抱き寄せます。

目を開けてください

コン・・

はい

私が死んでもこの戦いは終わらん お前は引き続き戦え

約束したじゃないですか 私の治める高句麗を見てくださると

・・見るとも この目でしかとな

ウォンピョはうめきます。

父上! しっかりしてください!!

ウォンピョはゴンの頬を触りました。

コン・・怪我はないか?

はい 私は大丈夫です

ならばよい・・

ウォンピョは頷きます。そして息絶えました。

父上!

ゴンは泣き崩れます。そして憎しみにかられて立ち上がるのでした。

***

ピョンガンはタルに駆け寄ります。

タル! 怪我は?

王様は?

安全な所にいる

側近たちに囲まれてコ・ゴンを取り逃がした

もう援軍が来たから大丈夫よ

タルは笑います。

俺の妻は本当に綺麗だ

タル、無事か?

プンゲ達が来て訊ねました。

平気だ 母さんの所へ行こう

タルとピョンガンは木蓮堂に向かいます。

***

ゴンはピョンガンを探して木蓮堂に行きますが姿はありませんでした。ゴンは抜け道に通じる扉に気づき、扉から抜け道に出ます。するとサ氏夫人が座っていました。

タル? カジンかい?

夫人は訊ねます。ゴンは夫人の前にしゃがみました。

どなた?

王女がここを通ったか

ゴンは聞きました。

おい! 王女とオン・ダルが通ったのかと聞いている ・・通ったのだな

ゴンは立ち上がり二人を追おうとします。するとサ氏夫人はゴンの足を掴みました。

そっちじゃない

離せ

そっちじゃありませんよ

サ氏夫人はゴンに蹴られます。しかし蹴られても再びゴンの足に掴まりました。業を煮やしたゴンはサ氏夫人を斬りました。

***

ウナムはコ・ウォンピョの亡骸を見つけます。そして王に報告しました。

後は残党だけです ご安心を

王女と婿殿は?

木蓮堂に行きました

プンゲやチン達が伝えます。 

何故木蓮堂に?

オン・ダル将軍の母上を迎えに

とにかく父上を早く

太子が怪我をした王を気遣います。王はプンゲたちに連れて行かれます。

***

ゴンは抜け殻のようになりながらピョンガンを探していました。するとモヨンが現れます。

コ・ゴン様、外は危険です

どけ

順奴部族と絶奴部族が来ました 勝ち目はありません

王女とオン・ダル あの二人を斬るのだ

コ・ゴン様!

あの二人を斬らねば・・

ゴンは泣き出します。

私の父上が死んだのだ この身がどうなろうともあやつらを切り裂いてやる

コ・ゴン様! 今日は諦めて私と新羅に参りましょう そして再起を図るのです 私が命懸けでお助けします どうか聞き入れてください

モヨン お前は国へ帰れ 私の死に場所はここだ

モヨンはゴンに抱きつきます。

この世で誰よりも大切なお方です

泣きながらモヨンは言います。

わかっている 私もそなたが大切だ

故に行かせるわけには行きません

モヨンはゴンの首に針を刺しました。ゴンは意識を失います。

愛しいお方・・

***

タルとピョンガンが抜け道にいくと変わり果てたサ氏夫人を見つけます。

母さん?

タルは夫人の亡骸を揺さぶります。

母さん! 目を開けてくれ

お義母さん!

母さん!!

タルは絶望して声を上げて泣きました。

***

チン・ピルは棺桶に入れられ謁見の間に運ばれたウォンピョの亡骸を見て天を仰ぎます。ウナムもヨンも黙って亡骸を見下ろしました。

丁重に葬儀を執り行え

王様! 逆賊ですぞ

ヨンが反発します。

この国の重臣であり勇猛な武将であった 余と共に危機を乗り越えてきた友でもあった 恨みは捨てて見送ってやろう

王は言いました。扉の窓から様子を見ていた王妃は涙を流します。その時キム・ピョンジが慌ててやってきました。

王様、新羅軍に阿旦山城を占領されました

阿旦山城を?

***

タルは王宮を出る支度をします。

タル、いかないで 

ピョンガンは請いました。

お願いだから

埋葬するだけだ 日の当たる場所に

戻らないんでしょ?

ピョンガンは泣きながら訊ねます。

戻るさ

ウソだわ 私を捨てようとしてる

カジン

私が悪かった だからいかないで

俺が悪いんだ お前を”運命”だなんて 間違ってた 王を目指していた人をわきまえもせずに高望みしてた 俺ってバカだからな

私の剣でいてよ そばにいてくれるんでしょ

愛するただ一人を守るために剣を握った もう役目は終わった

違うわ まだ終わってない 今から私達が高句麗を導いて行くの 幸せが待ってるのに行かせるわけにはいかない

じゃあ一緒に行くか? ウサギを取って薬草を採って暮らすか?

わかった 行く

ピョンガンは支度をしようとします。タルはピョンガンを抱きしめました。

出会って以来家族を失い続けた お前の母親、俺の父 今度は母さん このままだとお前か俺が命を落とすかも

タル

タルは涙に濡れた目で話します。

お前を失わないためだ

いかないで お願い

お前はなりたい自分になれ 王の姉でもいいし王でもいい

タルは笑いました。

俺はバカに戻る

タルはピョンガンの額にキスします。ピョンガンはタルの唇にキスしますがタルは離しました。

そして部屋を出ていきました。

タル!

タルは雨の中を歩いていきました。ピョンガンは灯籠にかけられた守護石を見つけます。タルはそれきり戻りませんでした。

***

王は降りしきる雨を見つめながら呟きます。

余の業だろうか 余が過ぎし日に抱いた欲と嫉妬心が国を危うくさせたのだろうか そして余の肉親さえも不幸にしたのだろうか

後悔も自責の念も無用です

ウォルグァンは言いました。

王様の時代はもう終わるのですから 太子様と王女様が新たな高句麗を作れるよう支えることが王様の最後の務めです

余の過ちをどうか許してくれ

ウォルグァンは王に手を合わせます。しかし話を聞いていた太子は怒りに唇を震わせます。

***

4年後ピョンガンは相変わらず侵入する敵と戦っていました。戦いを終えピョンガンが王宮に戻ると王は会おうとしませんでした。

誰も通すなと

私は王の姉だ 

ピョンガンは槍で守備隊の兵を突きます。守備隊とピョンガンの兵が戦い始めるのをピョンガンは止めました。

戦いはやめよ

***

ピョンガンは弟の王の前に進みます。

知らせは聞いた 百済軍が肝をつぶして退却して行ったと

王は言いました。

援軍を約束しながら何故送らなかったのですか

都で対処すべきことがあった 姉上が頼りだったが勝って何よりだ

兵を半分も失いました! 援軍が来ていたら死なずに済んだのです

王は玉座から立ち上がりました。

ある余を責め立てるのか?

案じているのです 弟が犯した失策を

【第26話】

重臣達は王と王女の諍いについて論じます。

王女様は王様に対して失礼ですな

チン・ピルは言いました。

失礼ですと? 多くの兵を失ったのに何たる戯言を!

ヨン・チョンギが怒りました。

戯言だと? ヨン・チョンギ殿、言葉が過ぎますぞ

生まれてこの方外敵や砂嵐と戦って来た私に言葉を選ぶ余力などない

なんですと?

お二人とも落ち着いてください

キム・ピョンジがなだめますが二人は怒りながら先に行ってしまいます。残されたピョンジはウナムに話しました。

王様は王女様を疎んでおられる

だが百済軍を阻んだ功績はお認めだろう

ウナムは言います。

***

謁見の間では王が玉座から降りてピョンガンと話していました。

姉上、勝って偉くなったおつもりか?

偉くなった?

高句麗の民は感激して泣いていますよ 年若い王を支えて戦に勝った王女 あの姉がいなければ愚かな弟に王は務まらぬ

そのようなことはありません 私はただ兵を失ったのが悔やまれて・・

それ故臣下たちの前で私をなじったのですか?

王は憤ります。

私を誰だと? 答えてください 私は王ですか? 王女の弟ですか?

王様です

本心ですか

はい

王は微笑みます。

これ以上刃向かえば罰するつもりだったが軍職を解くことで終わらせよう たとえ憎くても私の姉だからな さがってよい

王は歩き去ります。

***

王様は広い心でお許しになりました

チン太后は王に言いました。

王女でも厳しく罰するべきでした 戦で手柄を立てたとはいえ王様に刃向かったのです

兄上

コンム王子が呼びました。

王子、”王様”と呼びなさい

チン太后が息子に注意します。

王様、この本にもっともなことが書かれています。 ”君主は常に国をおもんぱかり寝ていても民を見守ると” と

先の王様もそうなさっていた

姉上も同じでは? 民から慕われています

それはすべて王様の恩恵によるものだ

チン太后が口を挟みます。

ては何故姉上の軍職をお解きに?

それはどういうことかと言うと・・

チン太后は言いかけますが王が咳払いをしたので黙りました。王は弟に語ります。

王子、王の座とは孤独で苦しいものだ お前は将来それに耐えうるかな?

はい、父上や兄上のように務めてみせます

王は笑ってチン太后に言いました。

王子は立派です

コンム王子は王様の弟ですから

チン太后は王を持ち上げます。

***

チンはピョンガンに不満をぶつけます。

このまま黙っているつもり? 私達が戦ったのは褒美が欲しいからじゃない!

チン、王女様は休まないと 行こう

プンゲはチンと帰ろうとしますが、チンは反発します。

一体なんだって言うの? 百済軍と戦ってあんたも私もカジンも死ぬ思いをしたって言うのに 王様はまるで虫けら扱いよ

チン、やめて

ピョンガンはチンの腕を掴みます。

弟である前に王様なの 私の仕える方よ だから私の前ではそんな風に言わないで

王女様のおっしゃる通りだ 落ち着け 

プンゲはチンに話しました。

新居は片付いた? 婚礼直後の出陣でごめんね

いいえ 王女様のお呼びならいつでも駆けつけます そうだよな 妻よ

何が妻よ バカ

チンは怒って出ていきます。プンゲはピョンガンにお辞儀するとチンを追いました。ピョンガンは一人きりになるとタルがくれた兵隊の人形を手に取ります。

俺達は仲間で夫婦だ

タルの言葉が蘇りピョンガンの顔は寂しげに曇ります。

***

タルは昔のように山の小屋で暮らしていました。山で獲物をとり、薬草を摘んで生計を立てていました。

そしてタルのそばには”サ氏夫人の幻”が一緒にいました。タルが密猟者の殺した鹿を埋めていると夫人の幻は呆れて言いました。

全くお前は何やってんだい 肉は食べなきゃもったいないだろ 聞こえてないのかい

今度は何の小言だよ

死んだ獣だよ 肉を食べてもいいじゃないか

俺は食べなくたっていい

ほらまたそう言う 何を言っても小言に聞こえるんだ

タルは小屋に向かって歩き出します。

こら、タル 母さんが話してるじゃないか

***

小屋の前にタルはサ氏夫人を埋めて墓を作りました。サ氏夫人のついていた杖と水を墓に置きました。タルが墓の前に座ると幻が話しかけます。 

おやまあ、本当に親孝行なこった この4年間ずっと朝も晩も盛り土に挨拶してさ

母さんは幻だ

なんだって?

俺が作り出した偽物だ 

タルは墓に触ります。

本物の母さんは・・

なんだい? 何がどうしたって?

夫人の幻は訊ねます。

***

タルは部屋で笛を作ります。

そんな笛を作ったって売るわけでもないのに なんのために作ってるんだい

夫人の幻は不思議がります。

気が楽なんだ

そいつを握ってると嫁を思い出すからか?

母さん

私には正直に言ってごらん 王女の顔を見なくなって何年にもなる 本当ならすぐにでも都に行きたいんだろ?

そんなことない

タル

プンゲが小屋の窓を開けました。

お前は誰と話してんだ?

***

タルはプンゲを突き飛ばします。

二度と来るなと言っただろう?

そうだな 去年の秋に 

プンゲは台に座り話します。

でも季節ごとに一回は生きてるか確かめないと 虎に食われたら骨くらい拾わないと

タルは小屋に入ろうとします。

おい! タル!

プンゲはその腕を掴みました。

なんでだよ

離せ

荷物をまとめて どこかに消える気か?

修行しに戻ったとでも?

だから王女様は来られないんだ お前がそうやってひねくれて永遠に消えちまいそうだから 代わりに俺に様子を見に来させてる

タルは無言でプンゲを見ます。

王女様の剣は血が乾くことがない 今年の出陣はもう五回になる

誰より国を思ってるからな

おい! この馬鹿野郎

プンゲはタルを怒ります。

お前のせいだろうが 王宮にいたらお前のことをあれこれ考えちまうから自ら戰場に行かれるんだよ お前もいないしさ

カジンらしいな

プンゲはタルの手を取ります。

タル、都に行こう 王女様に会って積もる話をしろよ

タルは掴んでいるプンゲの手を離します。そして小屋に入ろうとしますが、足を止めました。

チンと結婚したんだろ もしサンが生きていたら喜んだろうに

タルは虚ろな目のまま言いました。

幸せになれよ 俺みたいになるな

タルは小屋に入ります。プンゲはため息をつくと山を降りました。

***

幼馴染を冷たく追い返すとはね

幻はタルを責めます。

やっぱり気になるんだろ 王女が血まみれで戦ってるのが

王様がいるだろ 仲のいい姉弟だから心配ない

弟がいたって夫にはかなわないんだよ

母さん

なにさ 小言が嫌だから消えろって?

カジンと俺は一緒にいられない 俺が死ぬか カジンに悪いことが起きるか 最後は血を見ることになる ・・そうならないために死ぬほど辛いけど山にこもってるんだ

そうやって幽霊みたいに暮らして一人で死んでも、その方がマシだってのかい 全くお前は高句麗で一番のバカだよ

幻の言葉にタルは笑います。

***

ピョンガンは王に書物を持って行きます。

これはなんですか

王は本の山を見て聞きました。 

軍職から退いたので暇つぶしに書庫へ行ってきました

それで?

先王のお言葉を思い出したのです ”太子が王になったら熱意を尽くして支えて欲しい” そうおっしゃいました

太子は本を開きます。

それで姉上が選んできた書物で君主について学べと?

すでに十分に学んでおられますがより一層治世に役立つかと

王は声を上げて笑います。

いいですよ 読みましょう でも書物以外でもお力添えを

王は椅子から立ち上がり語り出します。

高句麗の将軍達は勇猛だが先王から仕えた老人だ 姉上も尽くしてくれてはいたが所詮女人の身でしょう 故に義兄上を大将軍に任じたい

王様…!

もうそろそろ戻って来てもよいのでは? 姉上が行って説得してください

誰が行ってもオン・ダル将軍は二度と剣を握りません

ピョンガンは拒みます。

そんな・・姉上と義兄上は天が定めた縁でしょう

私のせいで辛い日々を過ごしたのです 二度と戻れとは言えません

ピョンガンの言葉に王は怒ります。

新羅に逃げたコ・ゴンはのうのうと贅沢に暮らしている! まず新羅を攻めてコ・ゴンの首をはね、三国統一の大業を成し遂げるのだ それが果たせるのは義兄上、オン・ダル将軍だけだ

私は王様のご意思に従います しかしオン・ダル将軍を巻き込むのはおやめください

なんだと?

王はピョンガンを睨みます。

***

ピョンガンは先王の言葉を思い出します。

いつか婿殿を訪ねるのだ この父のように後悔するようになるな 逃げずに幸せになるのだ

ピョンガンはタルが置いていった守護石を取り出します。

タル・・

***

新羅にいるゴンは酒をあおる毎日でした。

どういうおつもりですか?

モヨンはゴンを諌めました。

新羅に来てもう4年です 最初は慣れない土地で不安もあったでしょうが、いまだに酒浸りとは

そなたも飲みたくなったらいつでも言ってくれ 喜んで注いでやる

今日は王宮に呼ばれたのではありませんか

やることもないのにか?

王様はコ・ゴン様を格別にお考えです

だろうな 行くあてのない私を手厚くもてなしてくれてる ただとは思えないが

コ・ゴンは薄ら笑いを浮かべます。

コ・ゴン様

そんな目で見るな そなたも知ってるだろう? 私はもともと遊び人だ それに理財に明るいそなた達が新羅で大きな財を成しているのだからいくらかは使ってやらないと

将軍様!

将軍と言ったか? ここには二人しかいない

ゴンは酒を飲みます。

コ・ウォンピョ様の恨みをお忘れなく 志を遂げられず亡くなられて・・

ゴンは盃を投げつけました。

父のことをむやみに口にするな あの夜王女とオン・ダルを斬り私も死ぬべきだったのに、お前に阻まれたせいでこんな飲んだくれになった

コ・ゴン様・・

ゴンはそばに来たモヨンを拒みます。

出ていけ

***

コ・ゴン殿はまだ来ておらぬのか

王宮で新羅王はへ・ジウォル達に訊ねました。

突然食もたれを起こしたらしく・・

そうではなく酒の飲み過ぎであろう

キム・チャスンが横で訂正します。

いえいえとんでもない

へ・ジウォルが慌てているのを見て王は笑います。

英雄は色と酒を好むと言うがさすがは桂婁部族の跡継ぎだな へ・ジウォル殿、余はいまだコ・ゴン殿に期待している 

王様・・

余の忍耐が尽きる前に政を論じたいと伝えよ

ご命令しかと承りました

へ・ジウォルは頭を下げます。

***

モヨンは眠っているゴンの布団をかけ直します。

やっと眠りにつかれました

モヨンは部屋に来たジウォルに言いました。

今日私は王宮で笑い物になったぞ あのご立派な奴のせいで

ジウォルは憤ります。

お父様、目を覚まします

モヨンは止めようとしました。

飲んだくれが起きようが関係ない

お部屋で話しましょう

あやつのせいで我らまで悪く言われるのだ

お父様!

コ・ウォンピョ殿の息子があれほどろくでなしだとは・・

二人が部屋を出ていくとゴンは薄目を開けます。

***

ピョンガンは順奴部族の村でウナムやヨンと話します。

王宮の内外で噂しています 王様が軍職を解いたのは王女様の勢いをそぐためだと

ウナムは言いました。

根拠のない噂です

そうとは言い切れません 若き王がこれほど早く確固たる地位を築けたゆえんは何です? 王女様が血と汗を流し助けたからでしょう

ヨンは憤慨します。

おやめください 

ピョンガンは二人を制します。

今の話も一理あります 傍観していたら政から排除される恐れも

ウナムはピョンガンを説得します。

それなら木蓮堂にこもり刺繍でもします

王女様!

お二人は王様を誤解なさっています 王様がオン・ダル将軍を呼ぶようにと

オン・ダル将軍を?

三国統一の大業に必要な人材だと仰せです 私をけん制するなら将軍に大役を任せはしません

では将軍に会いに行かれるのですか?

ウナムは訊ねます。

それは・・

ピョンガンは口籠ります。

***

ピョンガンが帰ろうとするとプンゲとチンが待っていました。

悪いんだけど新居にはまた今度お邪魔する

王女様のためにご馳走を揃えたんですが

プンゲは残念そうです。

もういいよ 二人でお腹いっぱい食べればいいし

チンは横を向きます。ピョンガンはチンの手を取りました。

まだ私に怒ってるの?

別に 私には夫がいるし、あんたは早く帰って政でもなんでもして

また心にもないことを言う

プンゲはチンを諭しました。

実は何日か前にタルの様子を見てきました チンが行けってうるさいので

ちょっと! プンゲ、言わないでって言ったのに

チンはむくれますがプンゲは構わず続けました。

それなりに元気にでしたが話もろくにせずに追い返されました

・・元気ならいい

ピョンガンは行こうとします。けれどチンが呼び止めました。

何も良くない タルは笛ばっかり作ってるって なんでだと思う? あんたを思い出さないためだよ

チンは憤ります。

たからひたすら木を削ってるんでしょうが

もういい よくわかった

もう4年になるのよ あんたは会いたくないの? タルが可愛そうだと思わないの?

チン、やめろよ

プンゲが止めます。

会いたいわよ 私だって死ぬほど会いたい

ピョンガンは言います。そして帰って行きました。

***

ピョンガンは王宮から夜空の月を見上げます。そしてタルを思い出していました。

床を整えました お休みを

コンソン夫人が来て告げました。

ばあや 会いたいの 会ってはならないのに会いたくてたまらない

でしたらお会いください 

でも会いに行って追い払われたら?

何が怖いのです? 先王に謹慎を命じられても飛び出され、臣下たちの前で嘘の婚姻を宣言した王女様が

コンソン夫人は話します。

王女様は心を決めれば体が従うお方です 恐れることはありません

ばあや・・

***

タルはかまどに薪を焚べていました。

タル

サ氏夫人の幻が呼びました。

また来たのか

将軍様の宝剣はどこに隠した?

知ってどうする

飴に交換するのさ

知らなくていい

あれまあ 昼間から月(タル)がきれいに見える

昼だろうが夜だろうが月は月だ

こっちに来て見てご覧よ 満月みたいだ

いい 見たくないから

月と同じ名前のくせに見ないのかい 白くて綺麗な月を見ると誰かの顔を思い出すのか?

怪我してるあいつを追い出せと言ったくせに

昔の話を持ち出すなんて お前の本音はお見通しさ

サ氏夫人は笑います。

今すぐに王宮に飛んでいきたいんだろ? 王女をぎゅうっと抱きしめて”よしよし”ってさ

やめろー!

タルは大声を出しました。

頼むからもう苦しめないで消えてくれ 本当の母さんじゃないくせに!

タルは小屋に入ります。

***

タルが小屋から出てくるとサ氏夫人は消えていました。

母さん どこにいった?

タルは夫人を探します。

息子がここにいるのにどこに行ったんだよ? 母さん!

タルは泣き出します。

俺を苦しめてもいい 行くなよ 母さん・・

***

ゴンは王宮へ行く支度をします。 

急にどうしました?

モヨンは訊ねます。

新羅の王が高句麗に使節を送ると?

そう聞いています

もう一生分遊んだから働かねば

コ・ゴン様

我らは高句麗から来たよそ者だ 新羅の王宮では動けぬ だから機会を窺っていた

***

ゴンは王宮で新羅王と話します。

コ・ゴン殿が高句麗に使節として行けば王宮に入った途端首が飛ぶやもしれん

王は語ります。

そうかもしれません

怖くはないのか

既に死んだも同然の命、怖くなどありません もし使節の首など飛べば王様が挙兵する大義名分が得られます

王は笑いだします。

そちはこれまで遊びほうけながらこの日を待っていたのだな

しかしコ・ゴン殿を送るのは・・

キム・チャスンは戸惑います。

行くと言っているのです ご意向を伝えるにせよ、その前に死ぬにせよ、やり遂げます

ゴンは毅然と主張しました。

***

行ってはなりません

モヨンは反対しました。

高句麗に行ったとしても狙い通りにはならないでしょう

狙い? 私の狙いがわかるのか

もちろん 王女を殺し共に命を絶つおつもりですね

死にに行くのではない

ゴンは言います。

信じられません

やむにやまれず新羅まで逃げてきたが私もモヨンに同感だ

へ・ジウォルがゴンに話しました。

行ってはならん コ・ゴン殿

ゴンは食卓から立ち上がります。

新羅王の命であり私の決心も固い これ以上論じても無駄です

それならば私も参ります

モヨン! 何を言う?

ジウォルは仰天します。

死にゆく道でないならご一緒して無事に戻ってきます

ゴンは息を吐きました。

許さねばまた針を刺すのか

全く なんてことだ・・

ジウォルは嘆きます。

***

ピョンガンはタルに会いに来ました。昔と同じように罠が仕掛けられているのを見て微笑みます。小屋に行くと墓が作られていました。杖を見てサ氏夫人の墓だとわかりサ氏夫人との思い出が蘇ります。

ピョンガンが小屋に入ると布団が敷きっぱなしになっていました。笛を見つけたピョンガンは手に取ってながめます。新婚初夜の出来事が思い出されました。ピョンガンはタルの布団をたたみます。

ピョンガンは小屋を出ると墓の前に座りました。

来るのが遅くなり申し訳ありません タルがそばにいて良かったです 私はこれっぽっちも恩返しできませんでした 親不孝をお許しください

ピョンガンが墓に向かって話しているとタルが来ました。ピョンガンは思わず立ち上がります。二人は言葉もなく見つめ合います。タルは涙を流しながら告げました。

お引きとりを ここは王女様にふさわしくありません

タル・・ お腹が空いたの

ピョンガンは言いました。

***

タルは食事を作りピョンガンの所へ運びました。

じきに日が暮れます 召し上がったらすぐに・・

ピョンガンはサ氏夫人の作ってくれた服をタルに見せました。

これ着たかったの 持って行ってもいい?

タルは黙って頷きました。

さあ食べよう

ピョンガンは箸でおかずを口に運びます。

美味しい 味付けが上手なのはお母さん似ね 一緒に食べよう

二人は食事します。

***

食事が終わるとピョンガンは服を持ってタルに挨拶しました。

行くね

タルは無言を貫きます。

顔を見られただけでも良かった

ピョンガンは背を向けますがもう一度タルを振り向きます。

厚かましいけど一つだけ約束して 会いたいから今度来る時も何処にも行かずにここにいてね それだけ約束して

ただ見つめるだけのタルにピョンガンは目を潤ませます。

それも・・だめなの?

私は高句麗の民です 王女様のご命令に従います

ピョンガンは涙を拭いました。

そう・・

ピョンガンはタルを見上げました。

それでは約束したからな

はい

ピョンガンはタルの手を掴みます。

どうか 元気でいてくれ 

ピョンガンは笑います。

大切な命だ

王女様も

タルの目からも涙が落ちます。

ピョンガンは去っていきました。

***

タルは小屋に入り笛を手に取ります。すると守護石が棚の縁に掛けられているのに気づきました。守護石を手にしたタルはピョンガンを追いかけます。

カジン!

タルはそのまま行こうとするピョンガンの腕を掴みます。

王女にウソをついちゃいけないと思って追ってきたんだ 約束は守れない

ピョンガンはタルを見つめます。

俺はここよりもっと山奥に行くつもりだ ずっとここにいたらプンゲも ・・それにお前も来るから

タル・・

誰にも見つからない所へ行く

ドラマ(第24~26話)の感想

ついにピョンガンは母親の無念を晴らしましたね!コ・ウォンピョは残酷な野心家でしたが最後に恋人チン王妃への恋情と息子ゴンへ父親らしい愛を見せて世を去りました。いつも線香を手向けていたウォンピョでしたが手向けられる側になってしまったわけです(;_;)。悪役でしたが最後のゴンへ優しい表情がとても印象に残りました。

サ氏夫人が死んで山に籠もってしまったタルですが、本当にピョンガンの元に戻らないのでしょうか二人の仲睦まじい姿をまた見たいです!

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