映画「秘密の森の、その向こう」は愛する人を失った悲しみがひたひたと伝わる秀作!そのネタバレあらすじ、感想も!!

スポンサーリンク
映画記事

こんにちは。カナエです。今回はフランス映画「秘密の森の、その向こう」をご紹介したいと思います。

母親を失ったマリオンが姿を消し、娘のネリーは途方に暮れる・・

映画データ

製作年    2021年  フランス

監督     セリーヌ・シアマ

脚本     セリーヌ・シアマ

製作     ベネディクト・クーブルール

キャスト  ジョセフィーヌ・サンス、ガブリエル・サンス、ニナ・ミュリス、マルゴ・アバスカル他

受賞歴    ベルリン国際映画祭(2021年)コンペティション部門 出品作品

映画のあらすじ(ネタバレ)あらすじ

祖母を失ったネリー

さよなら

病室の祖母の知り合いたちに別れを告げます。

杖を貰っていい?

ネリーは祖母の病室を片づけている母のマリオンに訊ねました。

いいわよ

マリオンは病室の窓から庭をぼんやり眺めました。その背中は母親を亡くし寂しげです。

ネリーの父親が病室の祖母の荷物を車に積み込みました。父親はそのまま車で走り去り、ネリーはマリオンの車で祖母の家に向かいました。

祖母が亡くなったので森の中にある祖母の家を整理するためにネリーたち家族は数日滞在することになったのでした。祖母の家に着くとネリーはマリオンが使っていた子ども部屋で眠りました。

翌朝朝食を食べながらネリーはマリオンに訊ねました。

小屋の場所は?

森の中よ

見たいな

片づけがあるわ

マリオンは言いました。それでもネリーは問います。

木は何本?

私も小屋を作りたい、とネリーは言いました。

小屋って?

食器棚を動かしている父親が聞きました。

昔ママが作ったの

パパはそんな話忘れてるわ

おや、ここだけ昔の壁紙だな   マリオン、覚えてる?

食器棚の裏を見て父親は笑いました。マリオンは壁紙を見て答えました。

覚えてるわ

***

両親が部屋の片づけをしている間ネリーは森で一人遊びました。どんぐりを木の洞に向かって投げたり、その殻で指笛を吹くと森の木が風に揺れました。

夜、子供部屋で祖母がとっておいた昔の自分のノートを見るマリオン。

<画像出典>eiga.com/movie/94582/gallery/

字の間違いが多い

ネリーが一緒に見ながら言います。

でも絵は上手

持って帰るのは気が滅入るわ

マリオンはたくさんの自分のノートを見てため息交じりに言いました。

***

深夜水を飲みにネリーが台所にいくとリビングのソファーでマリオンが寝ていました。ネリーはマリオンと一緒にソファーに寝転びます。

私も悲しいの

ネリーは母親に言いました。

どうして?

”さよなら”が言えなかったから   最後だと思わなくて

それはおばあちゃんにもわからなかった   誰にもわからない

マリオンはネリーに呟きます。

なんて言いたかった?

”さよなら”と

”さよなら”

ネリーを抱きしめてマリオンは言いました。

翌朝目覚めるとマリオンはいませんでした。

ママは出ていった

父親が話しました。

ママは悲し

ネリーは言います。

そうだな   だから離れた方がいい

父親はネリーに微笑みました。

廊下の戸棚を整理してくれ   片付けを終わらせて俺たちも帰ろう

***

ネリーは戸棚の中から見つけたものを父親に見せました。

パパ、これは何?

パドルボールだ   ボールが戻ってくる

父親は懐かしそうに笑いました。

一人で遊べるの?

***

ネリーはパドルボールをして遊びますが、紐が切れてボールが飛んでいってしまいました。ネリーは森の中でボールを探します。

すると森で遊んでいた女の子がネリーを見て手を振りました。ネリーは太い木の枝を引っ張っている女の子を手伝ってあげます。

女の子は枝を集めて自分の入れる小屋を作っていました。

名前は?

ネリーは聞きました。ネリーによく似た少女は答えます。

マリオン

雷鳴が轟いて雨が降り出しました。

私の家に来て

マリオンはネリーを連れて家に戻りました。

***

そこはネリーの祖母の”昔の家”でした

マリオンはネリーにタオルを渡し、二人は濡れた髪を拭きました。

何か飲む?

ネリーがキッチンにいくと壁紙も昔のものでした。

マリオンはシリアルに温めたミルクをかけてくれました。マリオンはネリーに名前を聞きました。

名前は?

ネリー

私の死んだおばあちゃんもネリーだった

マリオンは言います。

トイレは廊下の先?

ネリーはマリオンに訊ね、トイレに行くふりをして子供部屋に入りました。机にはマリオンと名前の書かれたノートがありました。

マリオンはそっと祖母の部屋を覗いて見ました、するとベッドにマリオンの母親と思われる女性が後ろ向きで横になっていました。驚いたネリーは上着を着ると帰ろうとします。するとマリオンが声をかけました。

帰るの?

家で心配してるかも

ネリーは森を走って”おばあちゃんの家”に帰りました。

パパ

ネリーの父親は本の整理をしていました。

パドルボールはどうした

紐が切れちゃった

ネリーは父親に訊ねました。

ママの小屋の場所がわかった   覚えてない?

・・ああ?

聞いたはずだよ   手術の前に作った

そうかもな

父親は関心無げに応えます。

いい紐

ネリーは本のそばにあった紐を掴みました。

それはパパが本を縛るのに使うんだ

たくさんある

ネリーが紐を奪うと父親は笑いました。

夜歯を磨くとネリーは亡くなった祖母の部屋をそっと開けました。空のベッドを見て寝転がり、そのまま朝まで寝てしまいます。

***

翌朝紐を持ってネリーは森に行きました。そして小屋を作っているマリオンに渡します。マリオンは紐で枝を結わえました。

何歳?

ネリーは聞きました。

8歳よ   あなたは?

おんなじ

きょうだいは

いない

私も

小屋の中でマリオンは水筒の水を飲みました。

飲む?

マリオンが聞いたのでネリーは小屋に入って水を飲みました。

もう帰らなきゃ   一緒に来る?

マリオンはネリーを誘います。

***

マリオンの家のキッチンのテーブルで二人はすごろくのゲームをして遊びました。するとマリオンの母親がやってきます。

いらっしゃい

杖をついた中年の”祖母”がネリーに言いました。

こんにちは

ネリーは”祖母”を見つめます。

外に行ってたの?

”祖母”はマリオンに訊ねます。

気をつけてた

お医者様に叱られる

内緒にして

”祖母”は微笑みます。

1時間後に出るわ

そう言うと部屋に戻りました。

もうすぐ手術なの   今しないとママみたいになるって

手術はいつ?

3日後

マリオンは話します。

***

友達ができた

夜食事の時にネリーは父親に話します。

招待されたら泊まりに行ってもいい?

あと2、3日だぞ

父親は笑います。

泊まってもいい   招待されたら

父親は窓を開けて煙草を吸いながら言いました。

ママの手術は成功したの?

ネリーは父親に訊ねました。

ママに聞いたろ

全部じゃないかも

父親は窓から煙草の煙を外に出してネリーを見ました。

パパの昔話は?

話したろ

ちょっとした話はね   怖かったものは?

父親はタバコをキッチンの流しで消し窓を閉めました。

忘れちゃった?

忘れてないさ

父親はネリーの近くに来てそっと言いました。

父さんが怖かった

***

ネリーは葉っぱをたくさん持ってきてマリオンの小屋を飾りました。そして満足そうに眺めます。

仲良くなった二人は一緒に物語を作ります。ある殺人事件のミステリーです。登場人物は被害者の未亡人や警部。ネリーは警部の役を演じるためにネクタイを結びます。でもなかなかうまく結べません。

ネリーはマリオンの母親(祖母)のところへ行きネクタイを結んで欲しいと頼みます。”祖母”は優しく微笑んで結んでくれました。

<画像出典>eiga.com/movie/94582/gallery/

できたわ

ありがとう

”祖母”はクロスワードパズルをやっていました。ネリーも一緒に考えます。

ここはきゅうこん 

ネリーはわかるところを”祖母”に教えます。

じゃあここは

ゾーン

よくわかるわね 

”祖母”は感心します。

ありがとう   ネリー

”祖母”は微笑みました。

この名前は久しぶり

***

マリオンとネリーは自分たちの作った物語でお芝居をします。マリオンは伯爵夫人、ネリーは警部役です。

私は女優になりたい

マリオンは言います。

なれるよ

ネリーはマリオンに笑いました。

***

芝居に飽きると二人はベッドに座ってぼんやりします。

外に出たいな   あなたの家に行きたい

マリオンは言います。

うちは無理

なんで?   おばあちゃんが死んだせい??

違う   ママが出てった

どうして

さあ

絶対に戻ってくる

マリオンは何故か断言しました。

手術は怖い?

うん

明日小屋で持ち合わせしよう

わかった

マリオンは微笑みます。

友達になれて嬉しい

***

ネリーが家に帰ると父親が言いました。

夢を叶えてあげるよ

どの夢?

父親は髭を触りました。

ネリーは髭剃り用のクリームを作り、父親は祖母の家のカミソリで長い髭を切りました。そのあとネリーがクリームを塗ってあげると父親はカミソリで髭を剃っていきます。

カッコいい

スッキリした父親を見てネリーは言いました。

ありがとう

父親は笑います。

***

入口に布を垂らし小屋は完成しました。二人は満足そうに小屋をながめます。

<画像出典>eiga.com/movie/94582/gallery/

手伝ってくれて有難う

マリオンが家に帰ろうとするのをネリーは呼び止めました。

マリオン   私たちには秘密があるの

何があるの?

信じるって約束して

ネリーは言いました。

わかった    約束する

私はあなたの子どもなの    あなたの娘

マリオンはネリーを見つめます。

未来から来たの?

後ろの道から来た

連れてって

マリオンが言ったのでネリーは家に連れていきます。マリオンは部屋に入ると周りを見回しました。自分の家と同じなのがわかったようでした。

私は何歳?

31歳

ネリーは教えました。

その年にママが死ぬ    よぼよぼ?

そうでもない

いつも死ぬ話をしてる

知ってる    もう会えないかもって

よく言ってる

マリオンは立てかけてある杖を見ました。

ママの杖?

そう

ネリーは杖を手に取ります。

おばあちゃんの匂い

好きだった?

すごく

その時父親が呼びました。

ネリー   終わったよ    家に帰ろう

父親はコートを羽織っていました。

明日じゃなかったの

早く終わった    今日はママの誕生日だよ    ママに会いたくないのか

行っちゃうの?

マリオンが来て訊ねました。ネリーの父親は娘によく似たマリオンに驚きます。

こんにちは

父親はマリオンに挨拶します。

今夜うちに来てほしいの

マリオンは父親に話しました。

招待された

ネリーも言います。

そうだね

父親は二人を嘆息したように見て言います。

うちでクレープを作りたい 

やりたいな

また、今度

父親の言葉にネリーは言いました。

”今度”はないの

そして父親に抱きつきます。父親はマリオンに微笑みました。

有難う

マリオンはお礼を言いました。

***

ネリーはマリオンの家で一緒にクレープを作りました。二人はふざけて顔につけたりしながら楽しい時を過ごします。

次に二人で作った話のお芝居をやります。伯爵夫人と警部は愛し合い、そして別れ、再び再会するという設定でした。伯爵夫人を演じるマリオンは警部を演じるネリーに(人形の)赤ちゃんを見せます。

私たちにはこの子がいるのよ

君に似てる

私はこの子とここで暮らす

マリオンは言います。

***

そして夜になりマリオンの母親(祖母)がスープを作り二人の皿に注いでくれました。スープを飲んだ後で”祖母”はバースデーケーキに立てた9本のろうそくに火をつけネリーと歌いながらマリオンのところへ運びました。

ハッピーバースデー、マリオン

マリオンは炎を吹き消します。

***

次の朝になり、マリオンはお昼には病院に行かなくてはなりません。その前に二人はボート漕ぎに行きました。湖の真ん中にある三角の建物まで交代で漕ぎ、そして中を一周して戻りました。二人は肩を寄せて湖をながめます。

いよいよ病院に行く時間になりました。マリオンは衣類をスーツケースに詰めます。

ゲームはいるかな

マリオンはネリーに訊ねます。

病院にあるよ   でも一応持ったら

ネリーはすごろくをスーツケースに入れました。

怖い?

マリオンは聞きました。

何が

私   戻らないかも

きっと大丈夫だよ

未来のことよ    あなたのママのこと

少し不安   ここにいたくないってことを前にも感じたことがある

それはあなたのせいじゃない 

マリオンは話しました。

私の悲しみは私のせい

***

マリオンは母親と車で病院に行きます。

<画像出典>eiga.com/movie/94582/gallery/

二人は最後に抱き合いました。ネリーは助手席の”祖母”に<さよなら>と言いました。

さよなら

”祖母”はネリーの髪に触れて言いました。車は発車しました。

***

ネリーは祖母の家に戻りました。すると母のマリオンが家具のないガランとした部屋に座っていました。ネリーはマリオンの横に座りました。

ごめんね    置いていって

マリオンはネリーに謝りました。

謝らないで   いい時間だった

もう一度   見たかった

うん

変な感じね 

マリオン

ネリー

二人は抱き合いました。

映画の感想

この映画は姿消した母親のマリオンが見せた思い出の世界に娘のネリーが足を踏み入れてしまった、そんな物語に思えました。母親のマリオンは自分の母を失った悲しみに耐えられず思い出の世界で亡き母親と対話していた・・マリオンと心の結びつきの強いネリーはそんな母親の心象世界に引き込まれてしまった・・そしてマリオンもネリーが祖母にきちんと”さよなら”とお別れの挨拶が出来なかったことを悔やんでいるのを知っていたのでそれを言わせてやりたかった、映画の最後でネリーは祖母に<さよなら>と告げることが出来ました。

<画像出典>eiga.com/movie/94582/gallery/

この映画の監督のセリーヌ・シアマはスタジオジブリのファンだそうで、この物語は「思い出のマーニー」に似ている気もします。ただこちらはフランス映画らしく実に静謐なタッチで描かれていて最初カナエは何の予備知識もなく観ていたので一体どこへ向かう映画なのかなかなか掴めず、二度観てやっと言いたいことがわかったと言う感じでした😓。

そして主人公のネリーとマリオンを演じていたのは本当の双子ちゃんで一卵性でとても良く似ています。でも特殊映像で一人の人物に二人を演じさせるのと違って、似ていてもやっぱりどこか違うので生きた人間らしさが伝わって立体感があって良かったと思いました。

コメント

Optimized by Optimole
Verified by MonsterInsights