映画「水は海に向かって流れる」は男女の奇妙な縁を綴ったヒューマン・ストーリー。そのネタバレあらすじ、感想も!

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映画記事

こんにちは。カナエです。

今回は広瀬すずさん主演の映画「水は海に向かって流れる」をご紹介します。

母に捨てられ怒りをためて暮らす広瀬すずの表情が切ない・・

映画データ

製作年>   2023年  邦画

監督>    前田哲

原作>    田島列島

脚本>    大島里美

主題歌>   スピッツ

キャスト>  広瀬すず、大西利空、高良健吾、當真あみ、坂井真紀、生瀬勝久他

映画のあらすじ(ネタバレ)

熊沢直達(大西利空)は駅に着くと途方にくれました。土砂降りの雨なのに傘を持っていなかったからです。次々と傘を広げて駅から歩きだす人たち・・一人残った直達の所に見知らぬ若い女性が近づいて来ました。、

直達くん?

直達が頷くと女性は言いました。

おじさんが手が離せない状態なので代わりに迎えに来ました  榊です

<画像出典>eiga.com/movie/98365/gallery/

にこりともせず榊千紗(広瀬すず)と名乗る女性は傘を直達に渡しました。二人は黙々と雨の中を歩いて入口にトーテムポールが立っている一軒家に着きます。

ここが茂道おじさんの家なんですか

そうだけど

玄関に上がった千紗は直達を振り向きました。

お腹空いてる?

あ・・はい

千紗は台所に立つと玉ねぎをざくざくとときざんで牛丼を作ってくれました。直達は買ってきてそのまま煮込んだ大きな牛肉に驚きますが味は最高でした。

あ、ポトラッチ丼だ  いいなあ

女性っぽい恰好をした男性が来て直達に笑いました。

ニゲミチ先生の甥っ子?  住むんでしょ?   ここに

ニゲミチ?  …あ、はい   通っている高校が家から遠くておじさんの家から通わせて貰うことになりました

直達は話します。

すると男性は「ここに住んでる泉谷だ」と自己紹介しました。泉谷によるとこの家はシェアハウスで、あと一人が海外出張中で直達を入れると5人が住むことになるという話でした。

え?ここは茂道おじさんの家じゃ・・

直達は戸惑います。

***

叔父の茂道(高良健吾)は会社を辞めて漫画家になり〆切に追われ忙しそうでした。直達は仕事を手伝わされます。ペンネームはウシロニゲミチです。

会社に勤めてた時は一人暮らしだったんだけど辞めたらお金がなくなってここに移ったんだよ

茂道は甥に笑います。

「父さんも母さんもおじさんの家で世話になるって思ってる」と直達は漫画を描きながら茂道に言いました。

シェアハウスってバレたら家から通えって言われそう

すると茂道は直達の両親や祖父母にはバラすな、と言います。

・・え?  シェアハウスのこと?  会社辞めて漫画家やってること?

全部だよ!  全部!!

なんで

俺があの人たちの思うような子供じゃないとバレてしまうだろうが

茂道は「初日からポトラッチ丼を貰うなんてついてる」と直達に話しました。

ポトラッチ丼て何?

ポトラッチっていうのは北米の先住民が冠婚葬祭で宴会をして、気前の良さを見せつけるためにアホほど贈り物をし合う祭り   榊さんは時々上等な肉を買って来ては普通の玉ねぎと普通の麺つゆで暴力的に牛丼をふるまってくれる   それが榊さんのポトラッチ丼だ

茂道は語ります。

駅まで迎えに来てくれたから茂道おじさんのカノジョかと思った

わけないだろ! ただの同居人   〆切に間に合いそうもないから直の写真渡して迎えに行ってもらったんだ

茂道は説明しました。

***

千紗は部屋で茂道から渡された直達の家族写真(直達と両親)が印刷された年賀状を見ていました。年賀状をテーブルに置くとは千紗は憂鬱そうに窓の外の雨を見つめます。

***

朝になって直達が高校へ通学していると、川の土手で猫の鳴き声がしました。直達が土手を降りていくと草の中にダンボール箱があり、中で子猫が鳴いていました。直達は子猫の写真を撮ります。

連れてってあげたいけど、俺も居候の身なんだよ

直達が土手を上がるとちょうど出勤してきた千紗と鉢合わせしました。千紗は直達が上がって来た土手を見下します。

あの・・   どうもしてないです

聞いてないけど

無愛想に千紗は行ってしまいます。

***

直達は学校で級友に猫の写真を見せて貰ってくれる人はいないか聞きますが、引き取り手はなかなか出てきません。すると泉谷楓(當真あみ)という男子に人気のある女子が猫のキーホルダーをしていたので聞いてみると、母親が猫アレルギーで飼うのは無理だけど飼い主を見つけるのに協力すると言ってくれました。

写真を送って

二人は連絡先を交換します。

***

学校が終わって直達が猫の所へ行くと中学生数人を女装の男が追い払っていました。

泉谷さん?

直達はシェアハウスの泉谷だと気づきます。

妹から猫がいるって連絡があったからさ   あいつら猫をいじめてたから  あ?  これはバイトの格好だよ

泉谷は楓の兄だったのでした。

怪我してるから病院につれて行こう

泉谷は言います。

***

子猫の怪我は大したことはありませんでした。猫をシェアハウスに連れ帰り、直達はその晩は猫の側で眠りました。

朝目を覚ますと千紗が猫を撫でていました。

死ななくてよかったニャア   幸せになれるよ

千紗は人には見せない優しい笑顔で猫に話していました。けれど直達が自分を見ているのがわかるといつもの仏頂面に戻ります。

あの・・  すみませんでした

直達は千紗に謝ります。

何が

猫のことを話さなくて・・

そっちか

そっち?

あの時私に相談していればこの子を連れ帰って怪我をしなかったってこと?  怒ってどうするの  怒ったってしょうがないことばかりだもの

そう言って千紗は行ってしまいます。

***

<画像出典>eiga.com/movie/98365/gallery/

もう一人のシェアハウスの住人の大学教授、成瀬(生瀬勝久)が海外出張から帰ってきて、直達の歓迎会と成瀬のお帰りなさいパーティが催されます。庭でバーベキューをする事になり楓も野菜を持って参加しました。お酒が入ってご機嫌になった茂道は直達と10年くらい前に一緒に住んだ話をします。

二人で遊んでそれで絆が深まったんだよな

5歳児と?

泉谷に突っ込まれ閉口する茂道。

でもあの時どうして茂道おじさんの家で暮らしたんだろう?

直達に聞かれても理由を良く知らない茂道。千紗だけが二人の話に暗い顔になっていました。千紗の父親と友人である成瀬は千紗のそんな様子に気づきます。

***

お酒に弱い成瀬は庭から引き揚げて居間で休憩しました。千紗は成瀬に水を持っていきます。

千紗ちゃん、何かあった?

成瀬の言葉に千紗はぼそりと言います。

あの子、熊沢の子

成瀬は驚いて千紗を見ました。実は直達の父親と千紗の母親はかつて不倫して駆け落ちしたのでした。千沙の母親はそれきり家に帰って来ませんでしたが、直達の父親はちゃっかり家族の元に戻っていたのです。千紗は顔を知らない直達を迎えに行くときに直達がわかるように茂道から渡された写真入りの年賀状でそのことを知ったのでした。

嫌なら追い出せよ

成瀬は言いますが、千紗は拒みました。

あの子はすごくいい子

二人の話を家に入って来た直達と楓が聞いてしまいます。直達は家族の意外な秘密にショックを受けました。

***

直達は茂道に父の不倫について聞こうとしますが茂道は全く知らない様子でした。そこに年賀状を返しに千紗が来ます。千紗は直達が話していることに気づいたようですが何も言わずに戻っていきます。

風の強い日に千紗は日頃から洗濯したかったカーテンを洗いました。直達が家にいたので干すのを手伝って貰います。

カーテンって洗うんですね

ずっと洗いたかったの   すっきりした

千紗はそう言って直達を見つめます。

ニゲミチ先生を困らせないでやって    子供は知らない方がいいこともある 

千紗は洗濯籠を持って家に入っていきました。

***

直達は実家に泊まりに行こうとしますが母親からお父さんがそっちに挨拶に行ったと告げられます。父親と千紗を会わせてはまずいと直達は駅からシェアハウスまで全力疾走しました。けれどタイミング悪く訪ねてきた熊沢に応対したのは千紗でした。千紗はすぐに熊沢に気づきましたが、熊沢は高校生だった千紗と今の千紗が結びつかず気づきません。しかし遊びに来ていた楓が「榊さーん」と呼んだことで熊沢は千紗のことがわかりました。千紗は家に上がってこない熊沢のためにお茶を持ってきます。

もしかして千紗ちゃん?

熊沢はまじまじと千紗を見つめます。

お母さんは元気ですか

知りません   母は帰ってこなかったので

茂道君とつきあってるんですか

違います   ただの同居人です   私、恋愛はしないので

千紗の言葉に熊沢は絶句します。

すみませんでした

熊沢は頭を下げます。

それで直達はこのことを・・

知らないんじゃないですか   私は言ってません

ほ、ほんとうに・・?

キッとなった千紗はお盆を熊沢に投げつけました。お盆は熊沢の鼻に当たり血が流れます。

バチって当たるんですね

千紗はそう言って玄関から出ていきます。ちょうど直達が戻って来ましたが何も言わずに通り過ぎました。

家の中では茂道が熊沢を見て慌てていました。

義兄さん、いったいどうしたの??

<画像出典>eiga.com/movie/98365/gallery/

***

直達は顔に包帯された父親と家に帰りました。

何もない所で転んだの?  もう年なのね

直達の母親が鼻にガーゼを当てながら言いました。直達は真相を知っていましたが何も言いません。次の日学校に行く直達に熊沢が声を掛けました。

直達、父さんに何か言いたいことはないか

え?

父親が目を泳がせていると直達は言いました。

あのさ・・お金ちょうだい   遊ぶお金

熊沢はキョトンと息子を見ます。

***

父親のお金で直達は大量の卵を買いました。そしてシェアハウスに戻ります。直達が玄関に卵を置いていると千紗が帰って来ました。千紗は直達を見ると玄関の引き戸を閉めます。

榊さん!

直達は呼び止めます。千紗は玄関の外で言いました。

卵どうしたの  そんなにたくさん

これは・・父からカツアゲしたお金で買ったので   みんなで食べれるものがいいかと

カツアゲって・・

父の怪我のことは気にしなくていいので   当たり前なので

当たり前?

でも僕がここにいるのが辛いなら出ていきますから

直達はバーベキューの日に千紗と成瀬の話を聞いたことを明かします。千紗は直達に出ていくことはない、と話します。

直達くんは何も知らなかったことにしてればいい

はい・・

直達は頷こうとして引き戸を開けました。

俺はそういうのはイヤです!

千紗は言いました。

ニゲミチ先生にはちゃんと説明するから  だから直達くんはいい子にして余計な波風を立てないようにしよう

いい子じゃなくていいです

直達は言いました。

いい子じゃなくていいから   半分持ちたいです

直達の言葉に千紗は驚きます。

***

中華料理屋で千紗と直達は茂道に自分たちの親の不倫を打ち明けました。

それで榊さんはお盆を投げつけたのか

<画像出典>eiga.com/movie/98365/gallery/

茂道は仰天します。

あの真面目な義兄さんが・・   つまり俺がシェアハウスに越して来なければ榊さんと義兄さんは会わなかったってことなんだ   知らなかったとはいえすみません

茂道は千紗に謝ります。

ニゲミチ先生が謝ることじゃないから気にしないで   直達くんも

千紗は言います。

私は何もなかったことにして今まで通り暮らしたい

***

直達は学校で千紗とのことを心配してくれていた楓に折り合いがついたことを話しました。

榊さんは何もなかったことにして暮らして行きたいんだって

ふーん、じゃあ、あの家にはそのまま住めるんだね   問題解決ってことか

楓は笑いました。

そうだね

直達と別れて部活に行きながら楓は呟きます。

つまんない   二人の間の話題がなくなっちゃった

***

直達の父親の熊沢は昔のガラケーを探し千紗の母親に連絡しようとしますが、直達の母親に見つかってしまいます。母親は怒ってACアダプターを振り回し自分の頭を打って入院する羽目になりました。知らせを受けて直達が病院にいくと、母親は元気に笑っていましたが検査に忙しそうでした。

どういうこと?

直達は付き添っていた父親に訊ねます。

榊さんのお母さんにね、連絡をしようとして昔の携帯に電源入れてたらお母さんに見つかっちゃった   お母さん、怒っちゃって・・

なんで、今更そんなこと

ちょっと罪滅ぼしをしたくってさ   こないだ娘さんに会った時にね   お母さん帰って来なかったって言ってたから   それきり会ってないって言うし・・   私、恋愛しないので、なんて言うしさ

熊沢は目を伏せます。

なんとかできたらなと思って

それで母さんは怪我をするし、父さんのやること全部裏目に出てるじゃん

分かってる   ただ・・

ただ・・、  何?

ちょっとでもいいから自分のことをちゃんとした人間だと思いたくて

熊沢は言いました。

***

直達が駅に着くとまた雨でした。傘のない直達が困惑していると後ろから千紗が来て赤い傘を広げました。

帰ろう

直達は千紗の傘に入れてもらいます。暫く歩いてから直達は遠慮がちに言いました。

榊さん、恋愛しないっていうのはやっぱりうちの父親と榊さんの母親が不倫したせいですか?

だったらどうだって言うの?

だったら俺も恋愛しません

千紗は呆れて直達を見ます。そして吐き捨てるように言いました。

バッカじゃないの?

***

直達は楓に千紗が親の不倫のせいで恋愛する気がないことを話します。

だから俺も恋愛しないことにした

楓は直達の告白にショックを受けますがそれでも直達に笑いました。

いいね、いいと思う

けれど楓はその日部活を抜け出すとシェアハウスに行き千紗を責めます。

<画像出典>eiga.com/movie/98365/gallery/

榊さん、榊さんが恋愛しないって言うから熊沢くんまで恋愛しないって言ってます

千紗は突然楓に言われて面くらいます。

私、言ったよ  直達くんはそんなとしなくてもいいって

撤回してください

は?

榊さんが恋愛しないって言うのをヤメたら熊沢君も言わなくなります

楓ちゃんには関係ないことじゃない

関係ないけど!  ここがモヤモヤするんです

楓は自分の胸に手を当てました。

楓ちゃん、直達くんにはもう一度言って置くけど、自分の恋愛がうまくいかないのを人のせいにしないで

千紗の言葉に楓は目をうるませます。そして項垂れて帰って行きました。

はあ・・

千紗は自分のキツイ物言いを後悔します。 

夜千紗の部屋に直達が茂道の焼いた餃子を持っていくと千紗は「楓に謝って欲しい」と頼みました。

高校生相手にきついことを言っちゃって・・何やってんだろ

千紗は反省していました。

次の日、直達は楓を誘って一緒にお昼を食べます。

俺が恋愛しないって榊さんに話したの?

楓が頷いたので直達は理由を問いました。

だってそうしたら熊沢君を好きな女の子はどうしたらいいの 

楓はその女の子は私だと明かします。

このハート泥棒

楓の告白を受けた直達は自分の無神経さに落ち込みます。

学校が終わって直達が土手で悩んでいるとそれを見つけた千紗が降りてきて声を掛けました。

何してるの

反省してます

千紗は直達が楓から告白されたのだと知って笑います。

私はね、直達君が半分持つって言ってくれて嬉しかった   それだけで十分   安心してリア充を楽しみなさい

そう言って頭を撫でる千紗に直達は言いました。

榊さん、飲みに行きましょう

***

前に茂道と行った中華料理屋で千紗は紹興酒を飲んで酔っ払います。未成年の直達はお酒が飲めず羨まし気に千紗をながめていました。

酔っぱらって機嫌がいい千紗は店からの帰り道、自分が高校生の時に母親と会った話を直達にしました。

あの時母にひどいことを言ったの  それだから母は帰ってこなかったのかも

千紗は道路にしゃがみ込みました。

母があなたにも好きな人が出来たらわかると言ったから一生恋愛なんかしないと言ってしまった   直達君のようにい子でいたかった

千紗は言いました。

***

千紗に罪滅ぼしをしたい熊沢が探偵事務所に依頼して千紗の母親について調べ、その調査報告書を千紗に送って来ました。

なんで私があのオッサンの罪悪感を軽くするために母親に会いに行かなきゃならないの

じゃあ俺が行きます

直達は言いました。

俺だって怒ってます   父さんが10年前俺と母さんを捨てたことを   そのことについてはっきりと話をしないのも   勝手すぎるでしょ   何もなかったことになんかできません

直達は泣き始めます。千紗は直達を見つめました。

ごめん・・  直達君も怒ってたんだ

二人は千紗の母親に会いに出かけます。

***

二人は千紗の母親の家に行くためにバスに乗りました。バスは海岸線を走っていきます。

<画像出典>eiga.com/movie/98365/gallery/

どんな人なんです?

プロフィールを聞いてどうすんの

直達の問いに千紗は答えます。そしてその後で言いました。

優しい人だよ

***

千紗たちは千紗の母親、紗苗(坂井真紀)の家の前に立ちました。家は大きな白い一軒家でクリスマス間近で庭は綺麗に飾られていました。ピアノ教室という看板も出ています。

来てよかった   あの人にはあの人の生活があるってわかった   これで諦められる

千紗は帰ろうと直達に言いますが、直達は玄関に歩いていきます。

ちょっと

千紗が止めようとしていると車が庭に入って来ました。

千紗?

車の窓から母親の紗苗が顔を見せて笑いました。

***

紗苗は二人を居間に案内しお茶を出します。小さな女の子の写真があちこちに置かれているのはどうやら再婚した旦那さんの娘のようです。

ごめんなさい

紗苗は二人に謝りました

謝らないでもらえます?

どうして?  謝ってもらうために怒ってるんでしょ   私だって幸せになる資格がないのはわかってる   あなたたちはうちを滅茶苦茶にしに来たの?  それならそうしていいのよ

紗苗は自分を睨んでいる千紗に言いました。

あなたはずっとそうやって怒って生きていくつもりなの?

すると千紗は勢いよく立ち上がりました。

どうせ百年後にはここにいる人間は誰もいないのよ!  私が怒っているくらいなんでもないでしょ!!

早苗は千紗の剣幕にたじろぎます。

あなた・・まともじゃないわよ

そうよ  あなたの娘だもの

思わず紗苗が涙ぐんでいると幼稚園から子供が帰って来ました。

ママをいじめないで!

小さな娘は千紗たちにおはじきを投げつけます。    

***

千紗たちは家に戻る前にレストランで食事をしますが、そこに偶然紗苗たち家族もやってきます。千紗は紗苗を見ると「バス停で待ってる」と言ってレストランを出ていきました。直達は食べていた料理をパックに入れて貰い店を出ようとしますが、紗苗が来て直達に頭を下げました。

本当にすみませんでした

お金・・ありますか

え?

紗苗が財布から3万円渡すと直達は募金箱にすべて突っ込んでレストランから出ていきます。紗苗は呆気に取られて直達が出ていくのを見送ります。

***

最終バスがいってしまい千紗たちは民宿に泊まりました。二人はレストランでパックにして貰った料理を目いっぱい食べるとをテーブルを挟んで寝転びました。

みんなしれっと幸せになってる   馬鹿馬鹿しいったら

千紗は悔しそうに話します。

直達君も幸せになれるよ

榊さんも幸せになれます  大丈夫です  榊さんが幸せになったからって榊さんのお母さんが許されるわけじゃないです  

俺が榊さんが怒っていたことを覚えてます   ずっと覚えてるから大丈夫です

直達は千紗に話しました。

約束だよ

千紗は笑います。

朝になって千紗は海岸に出て波打ち際に佇みます。直達が出てきて一緒になって水をかけあってはしゃぎました。

***

シェアハウスに戻った千紗たち。千紗はここを出で行こうと決心します。荷造りを始めた千紗を見て茂道は直達の高校へ行き、千紗が引っ越しすることを伝えました。直達はシェアハウスに走ります。

川の向こうがわに段ボールを運んでいる千紗を見つけ、直達は急いで橋に向かいました。橋の中央で反対側から来た千紗と顔を合わせます。

何故引っ越すんですか?

直達君には普通に楽しく暮らして貰いたいの   自由でいて欲しい

千紗は言いました。

俺はもう全然自由じゃない   榊さんといる以上に楽しいことなんてない

直達は言いました。

榊さんが好きです

千紗はしばらく直達を見つめ、それから微笑んで言いました。

バッカみたい

映画の感想

広瀬すずさんの映画を観るといつもすずさんの魅力にとり憑かれます。確かにその大きくてつぶらな瞳や厚めの唇など、美貌もさることながら、なのですがそれだけじゃない圧倒的な存在感をこの若い女優さんは何故か持っています。それはどんな風景の中にいてもそれに溶け込まずむしろ事象を自分の側に引き寄せるようなそんな求心力さえあるように感じさせます。

<画像出典>eiga.com/movie/98365/gallery/

カナエは今年最初のドラマだったと思うのですが、珍しくすずさんが恋愛ドラマの主役をやっていて録画して観ていました。確か相手の方は永瀬廉(あってるかな?)さんで田舎から出て来た女の子が有名デザイナーになるという物語だったと思います。まあ火曜若者向けのドラマ枠だったのですが、なぜかすずさんが演じるとワンシーンワンシーンが特別に見えてくる・・好みの問題もあると思うのですがそんな風に観る人に感じさせる広瀬すずという女優さんはやっぱりすごいなあと思います。

この映画は高校時代に母親に捨てられた少女が怒りを抱えながら大人の女性になり、心を通じさせる異性に出会いその怒りを昇華していくというものですが、あまりメリハリの無い展開で、こういうヒューマンドラマはやっぱり出演している俳優さんの魅力で成り立つなあ、とつくづく思いました(シェアハウスの住人達、直達の叔父の茂道の天然ぽさや、占いのバイトをしている泉谷、大学教授の成瀬などの台詞も退屈しなかったし、ちょい出の子猫ムーちゃんも可愛かった)。そしてちょっとしたシーンの背景も計算されてる・・廃船の置かれたバス停は絵画のように見えました。

大学教授の成瀬曰く、”千紗は16歳のまま止まっている”。そんな千紗の怒りはシェアハウスの側を流れている川が海に広がるように、直達と半分分け合って鎮まっていき千紗は内実ともに大人の女性に変わっていきます。この映画の題名にはそんな意味が含まれるように感じました。

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