映画「ミッドナイトスワン」で、死にゆくトランスジェンダーの男性が海辺で見たものは?その映画のネタバレあらすじ、感想も!

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ドラマ

こんにちは、カナエです。今回は草彅剛さんの心に沁みる映画「ミッドナイトスワン」について書きたいと思います。

ニューハーフの店で働く凪沙は親戚の娘一果を預かるはめに・・

映画データ

公開年   2020年

監督   内田英治

脚本   内田英治 

プロデューサー   飯島三智

受賞歴   2021年日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀主演男優賞(草彅剛)

キャスト   草彅剛、服部樹咲、田中俊介、水川あさみ他

映画のあらすじ(ネタバレ)

性同一障害の男性、凪沙(草彅剛)は新宿のうらぶれた「ニューハーフショークラブ」で白鳥のチュチュを身につけて同僚たちとステージで「白鳥の湖」を踊る踊り子でした。凪沙はお金を貯めて海外で手術をして完全な女性になろうという望みを抱いていました。

そんなある日凪沙のもとに広島に住む母親の和子から電話が来ます。和子の電話は凪沙のいとこの早織が中学生の娘の一果(服部樹咲)の世話をせず、保健所から指導が入ったというものでした。和子は早織と一果をとりあえず離そうと東京にいる凪沙に一果の世話を頼んできたのでした。

養育費は親戚で集めるからしばらく預かって

お金はちゃんと振り込んでくれよ

凪沙は仕方なく応じます。

***

凪沙は一果を新宿駅に迎えにいきますが母親に虐げられて暮らしていた一果は無表情で虚ろな少女でした。すれ違いにならないように凪沙が男性だった頃の写真を持っていた一果は女性の姿の凪沙を見て驚きますが何も言いません。

実家にバラしたら殺すよ

今の自分のことを親に内緒にしている凪沙は写真を破り捨てました。

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アパートに着くと凪沙は狭い部屋のどこかで勝手に寝るように命じます。

掃除と金魚の餌をやって

「子供は嫌いだから」と凪沙は一果に言い放ち仕事に出て行きました。

***

一果は転入した学校でも黙りこくって友達を作ろうとしませんがバレエ教室に向かう少女達の話に興味を持ち後をついて行きました。そしてバレエを踊っている少女達の姿に魅了されます。一果はバレエ教室に体験入学してみますがお金がありません。すると学校でバレエ教室の生徒の桑田りんという少女に声をかけられ、手早くお金を稼げる中年男のカメラの被写体になるバイトに一緒に行くことでバレエ教室の月謝を払えるようになりました。

一果が友達になった桑田りんという少女の家は裕福でしたが母親はりんに無関心でりんは当てつけで被写体のバイトをしていたようでした。けれどバレエの発表会があり月謝以外にお金が必要になった一果は一人の男に写真を撮らせる個人撮影のバイトにも手を出します。そこで男に水着を着るよう強要されて拒んだことで警察が来る騒ぎになり、凪沙にもバレエの教師にも知られてしまいます

一果のバレエの才能を評価しだしたバレエの教師は「月謝免除で教えたい」と言いますが凪沙は同情はいらないと拒否しバレエをやめさせます。しかし仕事場の「ニューハーフショークラブ」に一果を連れて来た凪沙はステージで踊り出した一果の美しい踊りを観て心を揺さぶられ、自分がお金を稼いで一果にバレエを続けさせようと決心するのでした。

それからは母親代わりに一果の面倒を見始める凪沙。一果のために料理を作り男がする重い荷下ろしの仕事も頑張ります。そして夜公園でバレエの練習をする一果に付き合い自分も見よう見まねで一果と踊るのでした。

二人は絆を深めますが凪沙のアパートに突然一果の母親の早織が訪ねてきます。「一緒に暮らそう」と誘う早織から逃げる一果。動揺した一果は発表会で踊れなくなってしまいます。そんな一果を早織が連れ去り、一果は広島に戻されるのでした。そしてその日足をケガしてバレエを諦めるしかなくなったりんはビルから飛び降り自殺をします。

広島で早織と暮らす一果はバレエをやめて昔の暮らしに戻っていました。凪沙はタイで性転換の手術を受けて心も体も女性になって広島の実家に帰ってきます。そこで一果に会った凪沙はバレエを続けるよう一果を説得するのでした。

あんたは才能がある 私が母親になってサポートするから 私は”女”になったのよ

一果の母親になろうと手術した凪沙は言いましたが、早織に家から追い出されます。

出て行け! バケモノが!

傷心のまま東京へ戻る凪沙。一果は凪沙を追いかけようとしますが早織に止まられます。早織を振り切って皆から白い目で見られている凪沙を追うことが一果には出来ませんでした。

***

一年が経ち一果はその才能を惜しがって広島まで教えに来てくれたバレエ教師のおかげでめきめき踊りが上達していました。

中学を卒業した一果は東京の凪沙の所へ戻ってきますが、凪沙は手術後の処置を投げやりにしたことで重い後遺症を発症して床に臥してしていました。

せっか く女になれたのに・・情けない

おばさん、ごめんね

一果は凪沙を抱きしめます。

***

凪沙は一果に海を見たいと言います。一果が凪沙を海に連れて行くと凪沙は嬉しそうに海を眺めました。一果は一通のエアメールを凪沙に見せます。

外国のバレエ学校に行くことになった 奨学金がとれたの

まあ! 素晴らしいわ あんたはやっぱり才能がある

凪沙は喜びます。そして波打ち際に目をやりました。

女の子がいるわ

それは凪沙が見た幻でした。子供の頃凪沙は男の子の海水パンツをはく自分が嫌でたまらず女の子のスクール水着を着て海で遊ぶのを夢見たのでした。

おばさん、女の子なんかいないよ

一果は言いますが凪沙は一果に頼みます。

ねえ、踊って

凪沙に請われた一果は海を背景に軽やかに舞い始めます。

なんて綺麗なの・・

満足げに目を細める凪沙。そしてそのまま息絶えるのでした。

***

成長した一果はニューヨークでバレエのコンクールを受けます。一果は生前凪沙がつけていて一果にくれたオデット姫の羽根飾りを頭につけました。

見ててね

一果はつぶやくとステージの中央で踊り始めるのでした。

映画の感想

醒めたオババのカナエを久しぶりに泣かせた映画でした。トランスジェンダーとして希望のない人生を送る凪沙は思いがけず親戚の少女、一果を預かりますが、愛情を注がれず他人を受け入れなかった一果が初めて夢中になったバレエで美しく舞うのを見て胸をつかれます。

それからは一果を支えようと母親代わりになろうとする凪沙ですが所詮は”偽の女”だと周りは認めません。そんな人生に絶望し命もつきようとする凪沙の所へ一果が戻ってきて美しいバレエを舞って見せる・・人生の終わりに一番望む愛する少女の踊りを見て息絶えた凪沙を幸せと言うべきなのか・・。でももっと肯定的に生きられる人生であって欲しかった・・凪沙のいつも耐えている寂しげな表情を思うとそう思われてなりません。

海辺で一果が踊るシーンは映像があまりにきれい過ぎて、逆に悲しくなるほど印象的でした

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