こんにちは。カナエです。
おてもやん~あんた近頃嫁入りしたんじゃないかいな・・
今日はカナエ、掃除機をかけながら調子よくこんな鼻歌を歌ってました。でも歌っているうちにすごく気になってきたんです😲。
・・・おてもやんってなんだっけ?
そこで今回は〝おてもやん″という歌(熊本民謡ですが・・)について考えたいと思います👍。
歌に登場する“おてもやん”ってどんな人?
オテモヤンの歌の意味は?
<一番の歌詞>
おてもやん あんたこの頃
嫁入りしたではないかいな
嫁入りしたこつぁしたばってん
ご亭どんが ぐじゃっぺだるけん
まあだ 杯ゃせんだった
村役 鳶役 肝煎りどん
あん人たちの おらすけんで
あとはどうなと きゃあなろたい
川端町っつあん きゃあめぐろ
春日ぼうぶらどんたちゃ
尻ひっぴゃあて 花盛り 花盛り
ピーチクパーチク ひばりのこ
げんぱくなすびの いがいがどん
「おてもやん」という呼び名ですが「おてもやん」の〝ても″は下働きの女性である「テマ」がなまったという解釈もあり、そうすると女中さん、という呼びかけからこの歌は始まっていると言えます。(肥後の女性全般を指すという説もあるそうです。)
女中さん、あんた最近結婚したんだっけ?
〝ぐじゃっぺ″というのはあばた顔という事で旦那さんになる人が不細工だと言うこと。
旦那があばた顔だからまだ式はあげてはいないのよ
〝村役 鳶役 肝煎りどん″は村の役の付いた人、鳶役(とびやく)は火消しの頭、肝煎りどんは仲人さんを指します。
村の役付きや火消し役、世話役さんたちがいるからなんとかなるでしょ
〝川端町っつあん きゃあめぐろ″は川端町方向を回っていきましょうと誘っている意味で、〝春日ぼうぶらどん″は春日のカボチャが並んでいる様子を(実は見栄えの悪い男たちがたくさんいると)歌っています。
それ以降は歌のお囃子となりますが〝げんぱくなすびの いがいがどん″は棘のあるナス科の植物でこれも見た目の悪い男性たちを指すという説も・・〝おてもやん″ってかなり男性に手厳しい女性の歌だったんですね(‘◇’)ゞ。
<二番の歌詞>
一つ山越え も一つ山超え あの山越えて
私やあんたに 惚れとるばい
惚れとるばってん いわれんたい
追々彼岸も近まれば
若者衆(わきゃもんしゅう)も寄らすけん
くまんどん(熊本)の よじょもん詣りに
ゆるゆる話を きゃあしゅうたい
男振りには惚れんばな
煙草入れの銀金具が
それもそもそも因縁たい
アカチャカベッチャカ チャカチャカチャ
一番でおてもやんはさんざん男性の悪口言ってたのに、二番になると自分が相手に(いくつも山を越えるくらい)惚れていると白状しています。
惚れているからこそ気持ちを告白できないのよ
〝追々彼岸も近まれば若者衆(わきゃもんしゅう)も寄らすけん″はお彼岸近くになると若者たちが集まって来る、〝くまんどん(熊本)の よじょもん詣りにゆるゆる話を きゃあしゅうたい″はお寺で夜住職から説教や説法を聴く夜聴聞(よじょもん)でゆっくり惚れ人と話してみたいと打ち明けます。(当時お寺の夜聴聞は男女の出会いの場所でもあったようです。)
おてもやんは相手が色男でないのは好かないけど、煙草入れの銀金具を持っているのが素敵だと言っています。お洒落な男が好きだなんて何とも小粋な女性のおてもやんです。
<三番の歌詞>
一つ世の中 艱難辛苦の荒波越えて
男度胸でおいでなさい くよくよしたとてしょうがない
何時か目も出る花も咲く
移り気な浮き世のならいに 取り越し苦労はおやめなさい
悩みなんぞはこちゃ知らぬ
意地と張りの心が それが後生楽たい
アカチャカ ベッチャカ チャカチャカ チャー
三番になると〝おてもやん″という人物がどこかにいっちゃってなんだかお悩み相談室みたいになってます😓。男は度胸で女をゲット、くよくよせずに人生を楽しみなさいって感じで諭しています。歌詞や調子がお座敷小唄みたいだなあって思っていたら・・・
おてもやんはもともとお座敷歌だった!
この曲を作ったのは慶應元年生まれの永田稲(イネ)という女性でした。味噌醤油製造を生業とする資産家の家に生まれたイネは幼いときから琴や三味線を習い、芸道全般を極めました。多くの門下生を持ったイネはその中の一人、 チモ という女性をモデルにして〝おてもやん″という歌を作ったと言われています。
<おてもやん>
もともとは江戸の座敷歌として評判だった〝おてもやん″がそのユーモラスな方言交じりの歌で熊本の民謡になったなんて驚きでした!だからあんなに自由で男顔負けの歌詞だったんですね。
おてもやんという曲への誤解
カナエは〝おてもやん″という愛嬌のある呼び名や曲の調子の良さで、不器量な娘が結婚したのはいいけれどすぐに旦那に追い出されちゃった、周りからはいろいろ言われるしでさあ困った!なんていう内容の歌じゃないのかと勝手に思っていました。〝おてもやん″の顔はきっと福笑いのお多福みたいなんだろうな、なんて想像していたら実際は真逆の歌だったんですね。それも最初は芸妓さんが歌っていたあだっぽい座敷歌が元だったとは・・。
歌に歴史あり!!調べてみて初めてわかる事ってあるんだよねえ💛
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