こんにちは。カナエです。
前回冬を謳った童謡「ペチカ」について書いたので今回は春、夏、秋の情緒が沁みる童謡を選んでご紹介します。
童謡で亡き母との懐かしい会話を思い出す
<春の童謡>
春は寒い冬を耐えて待ち焦がれた季節なのでたくさんの童謡がありますね。「春が来た」「春よ来い」日本の歌ではないけど「大牧場は緑」など春が来た喜びを歌う歌は多いです。
著作者:pikisuperstar/出典:Freepik
🌺春が来た
作詞 高野辰之/ 作曲 岡野貞一
- 春が来た 春が来た どこに来た
山に来た 里に来た 野にも来た - 花が咲く 花が咲く どこに咲く
山に咲く 里に咲く 野にも咲く - 鳥が鳴く 鳥が鳴く どこで鳴く
山で鳴く 里で鳴く 野でも鳴く
素直な心で春がきた喜びを素朴に歌っている皆が知っている童謡。歌詞が単純なので覚えやすくて気軽に天気のいい春の日などに口ずさむことができます。山の春を一番に挙げているのは家から山を眺めて花の咲いているのに気付いたのでしょうか。鳥の楽しそうなさえずりも聞こえてきそうな歌です。
🌺春よ来い
作詞者 相馬御風/ 作曲者 弘田龍太郎
春よ来い 早く来い
あるきはじめた
みいちゃんが
赤い鼻緒の
じょじょはいて
おんもへ出たいと
待っている
春よ来い 早く来い
おうちの前の
桃の木の
蕾もみんな
ふくらんで
はよ咲きたいと
待っている
童謡では女の子が登場する歌は大いですが男の子って登場しませんね。作った人が男の人だからその視点で書かれていて可愛い女の子を歌う事になるのかも。それに昔は男の子は勇ましさが求められたから童謡に登場させるのは憚られたのかもね。自分の小さな息子だったら「雨ふりくまの子」のように動物に置き換えて登場させた歌もありますね。
「春よ来い」のみいちゃんは作詞者の相馬御風の長女「文子さん」だと言われています。そしてここで言うみいちゃんの「じょじょ」ってあまり聞き慣れない言葉ですが「草履」のことを指すそうです。まだ赤ちゃんのみいちゃんがヨチヨチ歩きながら外(おんも)に出たがっている様子が浮かんでお父さんの愛情をかんじます。
🌺大牧場は緑 (1,2番)
チェコスロバキア民謡 訳詞中田羽後
おお牧場は緑 草の海風が吹くよ
おお牧場は緑 良く茂ったものだ ホイ 雪が解けて 川となって
山を下り 谷を走る
野を横切り 畑うるおし
呼びかけるよ 私に ホイ
おお聞け歌の声 若人等が歌うのか
おお聞け歌の声 晴れた空のもと ホイ 雪が解けて 川となって
山を下り 谷を走る
野を横切り 畑うるおし
呼びかけるよ 私に ホイ
この曲は訳詞をした中田羽後さんが素晴らしいと思います。チェコの原曲は以下のようになります。
菩提樹が燃えていた 燃えていた
菩提樹が燃えていた 燃えていた
その下に私の愛する子が その下に私の愛する子が
菩提樹が燃えていた 燃えていた その下に私の愛する子が座っていた
山から流れ出る水は 私のように輝いていて カエデの周りを回っている
山から流れ出る水は 私のように輝いていて カエデの周りを回っている
日本語でないのでどんな曲調なのかわかりませんが愛する娘への想いを綴った曲ですね。一方訳詞の方に女性は登場せずあくまでも叙景の歌になっています。日本では戦前まで男尊女卑の風潮があったので女性に呼びかけるような歌は作られず風景を描いた歌が多いです。後になって観るとそれはそれで当時の情景が偲ばれて趣深いと思います。「雪が解けて・・」からのくだりは雪水が流れていく様子を生き生きと描いていて秀逸です。
<夏の童謡>
風薫る5月になると屋根の上に鯉のぼりを探したくなりますが少子化で見つける方が難しくなってちょっと寂しいです。この季節に頭に浮かぶ歌と言えば「背くらべ」ですね。
<画像出典>https://www.543life.com/koyomi/post20210430.html
🎏背くらべ
作詞 海野厚/ 作曲 中山晋平
はしらのきずは おととしの
五月五日の せいくらべ
ちまきたべたべ にいさんが
はかってくれた せいのたけ
きのうくらべりゃ なんのこと
やっとはおりの ひものたけ
はしらにもたれりゃ すぐみえる
とおいお山も せいくらべ
くものうえまで かおだして
てんでにせのび していても
ゆきのぼうしを ぬいでさえ
いちはやっぱり ふじの山
五月の子供の日にお兄さんが柱で背の丈を測ってくれたというほのぼのとした様子が描かれています。ちまきとは茅(ち)や笹の葉で巻いて蒸した餅を言います。昔は端午の節句に食べる習慣がありました。今はなかなか作る家はないかと思いますが、柏餅を代わりに食べることが多くその時期はスーパーなどで売られていますね。柱に傷をつけることは近頃の家ではあんまりできないかな😶。学校で身長や体重は測ってくれるのでこうしたこともしなくなりました。
天気のいい日に柱の傷で自分の背が伸びたことに気づき、外を見たら富士山が一番背が高かったという清々しい歌です。
<秋の童謡>
秋の童謡と言えばやはり赤く染まった葉や静かな里の情景が浮かびます。「小さい秋見つけた」「真っ赤な秋」などもありますが、カナエは「里の秋」という童謡が好きです。
<画像出典>https://www.beiz.jp/download_P/autumn-leaves/00002.html
🍂里の秋
作詞:斎藤 信夫 作曲:海沼実
しずかなしずかな 里の秋
おせどに木の実の 落ちる夜は
ああ かあさんと ただ二人
栗の実にてます いろりばた
あかるいあかるい 星の空
なきなきよがもの 渡る夜は
ああ とうさんの あのえがお
栗の実たべては おもいだす
さよならさよなら 椰子の島
お舟にゆられて かえられる
ああ とうさんよ ご無事でと
今夜もかあさんと 祈ります
この歌の詞は昭和16年に作られました。カナエはこの曲を聞いた時、なんでお母さんと二人なんだろうかと素朴な疑問を感じました。そうだったんだ、太平洋戦争の時代だったんですね。それは3番の歌詞ではっきりとわかりますが、これまで2番くらいまでしか記憶していなかったのでふうん、お母さんが大好きな歌なんだなあ・・くらいに思っていたんです。
随分昔に亡き母と童謡について話した時に「里の秋」が好きだと言ったら「あんたはセンチメンタルだね」と言われましたが、もっと切実な背景があったのでした。でもカナエは母親の言う通り母が好きだったのでこの二人で暮らす親子の歌は気に入っていました。
ちなみにお瀬戸とは家の裏庭をいうそうです。
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