こんにちは。カナエです。
今回は芦田愛菜ちゃん主演の映画「星の子」をご紹介します。
信仰に人生を見出す親と普通の生活に憧れる娘たち
映画データ
製作年 2020年 邦画
監督 大森立嗣
脚本 大森立嗣
原作 今村夏子
音楽 世武裕子
キャスト 芦田愛菜、永瀬正敏、原田知世、岡田将生他
映画のあらすじ(ネタバレ)
ちひろは虚弱な赤ん坊でした。発疹が体中にでき母親(原田知世)は泣きわめく我が子をどうする事も出来ずにいました。あらゆることを試みても状態が良くならないちひろに無力感に沈む両親・・そんな家庭に救いの手がさしのばされます。父親(永瀬正敏)の会社の同僚の落合さんが「水が悪いのでは」と言って勧めてくれた「金星のめぐみ」という水を体に塗ると不思議なことにちひろの湿疹が消えたのです。
それ以来ちひろの両親は水を販売する新興宗教にのめりこんでいくのでした。

15年後ちひろ(芦田愛菜)は中学3年生になりました。両親はすっかり宗教に染まって家は貧しくなっていくばかり。ちひろよりも5歳上の姉のまさみはそんな親を不満げに見ていましたが、ちひろと親との関係はうまくいっていました。
中学校ではちひろはイケメン教師、南先生(岡田将生)に恋していて、いつも先生の数学の授業の時は先生の似顔絵ばかり書いていました。そんなちひろのメンクイぶりを小学校からの親友のなべちゃんはからかいます。なべちゃんには新村くんという彼氏がいましたが、ある日三人で学校に残っていると暗くなってしまい南先生に送ってもらう事になります。
けれど公園まで来てちひろが降りようとすると先生が止めました。
おかしな奴らがいるから

ちひろが見るとそれは❝めぐみの水❞を頭にかけている自分の両親でした。みるみるちひろの目に涙があふれ車から飛び出してしまいます。家に戻ると両親が元気のないちひろを見て❝めぐみの水❞で癒そうとしましたが、それをはねのけて布団に潜り込むのでした。
次の日南先生からちひろは不機嫌そうに言われます。
俺とお前がつきあっているって噂が流れてる 後ろに二人乗っていたのに

公園にいたのは私の両親です
呆れた顔の先生を残してちひろは走り去るのでした。
***親友のなべちゃんが言ったこと。***
この水ってそんなにいいの?ちひろの家ってどんどん貧乏になっていくのは騙されているんじゃないの
なべちゃんの言葉に首を振るちひろですが不安が広がります。
まーちゃん(姉のまさみのこと)も家を出て行ってしまった・・そして母親の兄、雄三おじさんと両親との争いを思い出します。それはまだちひろが小学生の時、❝めぐみの水❞のことで三人が揉めたのでした。雄三おじさんは❝めぐみの水❞と水道水をこっそり変えておきました。母親はいつものように頭に水を染み込ませたタオルをおいてこの水のおかげで体の調子がいい、風邪をひかないと嬉しそうに言っていたのです。

高額な水と水道水だって変わらないじゃないか!騙されているんだぞ
そんなことはないと激怒する両親。ちひろもその時両親に味方しました。最後にはまあちゃんも味方して家族みんなで雄三おじさんを追い出したのですが・・あの時のことは正しいことだったのでしょうか。
そして更に悲しいことが起こります。
担任がお休みの時に南先生が代わりをしたのですが、皆が騒ぐのに怒った先生の怒りの矛先がちひろに向いたのです。
いつも俺の似顔絵を描くのをやめろ 迷惑なんだ
さらに南先生は続けます
その変な水をしまうんだ 水を飲むだけで風邪をひかないなら誰も苦労しないんだよ
好きだった先生に侮辱されたちひろは泣き続けました。
あいつ性格悪いね

なべちゃんや新村くんが優しくなぐさめてくれるのでした。
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両親と教団の集会に参加したちひろは子供部屋で寝ることになり両親と離れてしまいます。親たちを探すちひろに、探さないと永遠に会えないかも、と教団の友達がつぶやきました。
何故そんなことを言うの?
心の奥を探られたようで居心地の悪いちひろ。
でも夜遅くに両親が星が綺麗だから、と誘いに来ました。
寒空の下星を眺める家族。
流れ星よ
父親と母親は歓喜の声をあげますがちひろは見逃がしてしまいます。
見えた!
今度は両親が見れません。
まーちゃん子供が生まれたんだって
母親が微笑みながら言いました。
それだけ言ってすぐ電話を切っちゃったけど
・・・そうなんだ
三人は星を飽きることなく見続けるのでした。まるで時間が止まったように・・。
映画の感想

泣き叫ぶ赤ん坊には親はほとほと疲れてしまいます。体中に発疹が出来て辛くて泣く我が子がいたら親は何とかしてやりたい、無力な赤ん坊には私たちしかいないのだから・・と強く思うはずです。それでもどうにもできない状態が続いていた時にふっと奇跡のように治ってしまったら親は子供を治してくれたものを一生忘れることなく感謝することでしょう。
ちひろが❝めぐみの水❞で治ったのはほんとに偶然の奇跡だったと思うのですが、それ以来両親は水の虜になってしまった・・。大人になるにつれてちひろは姉のまーちゃんのように両親の人生に疑問を感じ始めます。憧れの教師の言動もちひろにはショックだったでしょう。
最後の場面で仲良く星を見つめる三人家族。この後彼らはどうなるのでしょう。ちひろはまーちゃんのように親から離れるのか、それともこれまでのように一緒にいて宗教活動をするのか。
無邪気に星を見つめるちひろと優しく見守る両親・・。結末はわからないけれど三人の絆の深さを感じさせる美しいラストシーンが印象的でした。
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