こんにちは、カナエです。今回もNHKBSで放送の「青春ウォルダム呪われた王宮」(第15話)について書きたいと思います。
婚姻の決まったファンはジェイを遠ざけながらも寂しさを募らせる
NHKでBSP4K(日)夜9時/BS(金)午前0時25分に放送

<画像出典>natalie.mu/eiga/news/567012
キャストとこれまでの物語
ドラマのネタバレあらすじ(第15話)
内務長官の娘の遺体の周りを役人が取り囲み人々を遠ざけます。
ちょっと見せてくれ
ミョンジンは遺体を調べようとしますが役人に止められます。

<画像出典>oricon.co.jp/news/2336128/photo/4/
領議政様のご子息が何故遺体をご覧に? 最初に検視をする者は法で定められています
遺体を調べるものや医者を呼びに行って皆が到着するのを待っていたら真夜中になってしまう 遺体の状態は刻一刻と変わるのだ
ミョンジンは訴えますが役人は聞きいれません。
法に従い処理をしますので手出しは無用です
***
四人は萬研堂に戻り内務長官の娘の死について話します。
籠の中で死んだのなら襲撃されたわけではありませんね 餅を食べて血を吐いていました
ジェイ(チョン・ソニ)が言いました。
毒殺ではないか
毒殺なら何か狙いがあるはずですが
ファン(パク・ヒョンシク)とジェイが話しているところにミョンジンが口を挟みました。
聞きたいことが・・ コ内官、さっきご遺体の手首から腕輪を引き抜いていましたね
ジェイやガラムは目を丸くします。
それから兄者もそれをわかっていて何故黙認したのですか? そしてお前も何か知っているようだな
ミョンジンはガラムの顔を見ました。
何故私を止めたのだ?
三人は俯きます。
あの腕輪は開城の殺人犯、ミン・ジェイの物です
ファンはミョンジンに告げました。
なんですと?
ファンは袂から腕輪を出してミョンジンに渡しました。ミョンジンは腕輪を確認します。
それは恋人だと噂されたシム・ヨンがミン・ジェイに贈ったのと同じ腕輪です
ジェイが説明しました。
それならあの娘の死にチェイさんが関係していると?
それはありえないと思います ただ同じ物を持っていただけでしょう
ならばどうしてこの腕輪を? 関係があると思ったから取って来たのでしょう?
ミョンジンの追及にジェイは黙ります。
間もなく死因が明らかになるでしょう ミン・ジェイと関係があるかどうかはその時にわかるはずです
確かに腕輪のせいで人が死ぬわけがない
ミョンジンはファンの顔を見つめました。
ですが問題はそこではありませんよ 何故この腕輪がチェイさんの物だと一目でわかったのですか
ミョンジンはジェイに問いました。
兄者もそうです そしてお前もチェイさんの腕輪だと気づいたから私を止めたんだろう? 違うか
ミョンジンはガラムに言い、三人を見回します。
どうなんですか 私以外の全員がわかるとは 三人とも怪しいな
世子様がシム・ヨンの腕輪を見せてくださったことがあり・・それと同じだったので
ファンの釈明にジェイは頷きます。
ふ〜ん・・ で、お前は?
ミョンジンはガラムに聞きました。
コ内官から伺って・・
私は世子様に伺いました
ジェイも話します。
はあ〜 ミョンジンは何故か世子様〜、世子様〜が近くにいる気がするんだが 世子様が変装して萬研堂に来ているのでは〜とそんな気がしてきました
ミョンジンはファンとジェイを見比べます。
するとどちらかが世子様だ 兄者と見せかけて? ・・それともまさかコ内官が世子様?
ミョンジンは急いでジェイの前に跪きます。
萬研堂のキム・ミョンジン、世子様にご挨拶を!
ミョンジンはジェイの手を取りました。
これまでの無礼をお許しください!
世子様ではない! 手を離しなさい!!
ファンが止めますがミョンジンは手を離しません。
絶対世子様だ! 世子様〜
違うって!
ミョンジンはファンとガラムに突き飛ばされます。
***
ファンは萬研堂からの帰りにジェイに言いました。
萬研堂の弟子は男ではないな そちの侍女だったチャン・ガラムか そうでなければあの腕輪に気づくわけがない
ファンは足を止めてジェイを見ました。
主が罪を犯し家が断絶となれば使用人は役所で働かされる 何故法に従わず自分のそばに置いているのか? 今からでも手放して・・
それは出来ません
ジェイは答えました。
ガラムは行くあてが・・ないんです
そちと開城から逃げたならお尋ね者になっているはずだ
命懸けで私を守ってくれました カラムがいなかったら私はとうに捕まっていました 私はカラムの帰る場所を取り戻してやりたいんです
ジェイは目を潤ませます。
追われる心配もなく過ごせる家を ささやかでも平穏な日常を取り戻してあげないと 実の妹のような子なんです
それでもファンは困惑しながら語りました。
もしあの娘が捕らえられればそちだけでなくキム殿まで危険になるんだぞ わからんのか
だから早く無実を証明しないと 世子様・・カラムのことも守ってくださいませんか
ジェイの必死さにファンはため息をつきます。
ならばあの腕輪は内務長官の娘の死と何か関連があるのか
・・わかりません
ジェイは家族の殺された日のことを思い出します。
あの日台所に来たシム・ヨンは腕輪を触った・・
ジェイはファンに言いました。
もう一度萬研堂に行きます 腕輪を調べたいんです
二人は萬研堂に戻りました。
***
ミョンジンは萬研堂で腕輪を持ちながら考え込んでいました。
どう考えてもおかしい・・
だから違うんですってば コ内官は世子様じゃありませんよ
ガラムが釘を刺します。
女だった
は?
コ内官は女だ
急にな、・・何を言い出すんです?
ガラムは慌てます。
さっきコ内官の手を握っただろ? あれは女の手だった
女の手と男の手が違うんですか?
ミョンジンは腰にぶら下げた猿の手の骨を台に置きました。
ミョンジンは骨をよく知っている あれは女の骨だった 私にはわかる
するとガラムは立ち上がりミョンジンに手を差し出しました。
では、私の手はどうですか
ミョンジンはガラムの手を取り目を丸くします。
え? お前も女の手だ! 何故男が女の手をしているのだ?
男でも女のように柔らかいのかもしれません 握っただけでわかるはずないでしょ
そんなはずは・・
ミョンジンが戸惑っているとジェイ達が戻って来ました。
***

<画像出典>asahi.com/and/entertainment/424891748/
四人が腕輪を詳しく調べると毒を入れる仕組みになっているのがわかりました。
毒殺ですね ここにヒ素が入っていたのです
ジェイは腕輪の穴を指しました。
この腕輪をシム・ヨンがミン・ジェイさんに贈ったということは・・
ミョンジンが話します。
ヒ素を入れたのもシム・ヨンでしょう ミン・ジェイが汁物をよそう前にシム・ヨンが腕輪を触り汁物の中にヒ素を流した
ファンが続けました。
は・・!!
ガラムは驚いて口に手を当てます。
はじめからシム・ヨンはミン一家を皆殺しにする気だった ミン・ジェイが食べないとは思わなかったのでしょう
ファンの言葉にジェイは唇を噛みます。
ではシム・ヨンはお嬢様を・・ いや、ミン・ジェイを殺すつもりだったんですか
ガラムの問いにファンは頷きます。
では、内務長官の娘については?
ミョンジンが聞きました。
死んだのは偶然だと思います 何者かがあの腕輪を開城で売り都まで流れて来たのでしょう それをたまたまあの方が買ったのです
ジェイが答えました。
亡くなったあの日餅を食べながら腕輪を触ってしまった・・
腕輪を持って役所にいきましょう チェイお嬢様の無実だけでも証明すべきでは?
ガラムが血相を変えてジェイに言いました。
そうです 今すぐ訴えてシム・ヨンを捕らえねば
ミョンジンもガラムに加勢します。しかしファンが止めました。
それは無理です
世の人はこの腕輪をシム・ヨンとミン・ジェイの愛の証しだと思っています 二人が手を組んで事件を起こしたと言われたらそれまでです
ジェイが語りました。
シム・ヨンは死にました ミン・ジェイへの思いを綴った遺書を残して自害したのです
ファンが続けます。
ではミン・ジェイの恋人だという噂は本当なのですか?
ミョンジンが訊ねると間髪入れずにジェイとガラムが否定しました。
違います!
ミョンジンはしげしげと二人を見ました。
何故・・わかるのですか?
いえ・・ただそう思っただけです
ええ 私も
二人は言います。
ミン・ジェイは姿を消したままなので真実を知ることは出来ません
怪訝そうな様子のミョンジンにファンは話しました。
世子様に遺書を見せていただいたのですがシム・ヨンという者は自分がミン・ジェイの恋人だと信じていたようです
ジェイも付け加えます。
そんなバカげた思い込みをするなんて悪霊に取り憑かれたとしか思えません
ガラムは憤ります。
悪霊に取り憑かれたとしても・・
ミョンジンは三人を見回して問いました。
まだ何か隠していますよね? 言ってくださいよ! 三人が隠していることを 全部!
祈祷師の牡丹の花が開城府長官の台所で見つかった
苛立つミョンジンを見てファンが明かしました。
祈祷師の牡丹の花が開城で?
またシム・ヨンは死んだ時に白髪でした 以前は黒髪だったそうです
白髪?
ジェイの話にミョンジンは訳がわからずに絶句します。
***
ミョンジンは家に向かって歩きながら考えていました。
黒髪が突然白髪に? どういうことだ・・?
屋敷の前に来るとちょうどアンジクが輿から降りていました。
遅かったな
アンジクは息子に声をかけました。ミョンジンは父親に頭をさげます。
内務長官の娘が亡くなった 暫くは自重せよ
はい 父上
ミョンジンはふと思い出してアンジクに訊ねました。
ところで父上、尋問で祈祷師を見ましたよね
もちろんだ 何故あんな者のことを聞くのだ
祈祷師の髪は白髪でしたか
何故それを?
やはり白髪ですか
ミョンジンは愕然とします。
奇妙なことに突然マムシが出てきて祈祷師の首を・・
マムシがですか?
ミョンジンは目を見張ります。
***
ソンオンはオ・マンシクの姉嫁の家を訪ねますが既に引っ越していました。
前ここに住んでいた方は故郷に帰ると言っていました
新しい住人は話します。
故郷は確か開城だと
また開城か・・
ソンオンは戸惑います。
***
ソンオンが帰宅するとソウンが庭で乾燥させたヨモギを焚いていました。
悪霊を追い払うという迷信を信じているのか?
夜風に漂う香りが好きなんです 心が落ち着くので
ソウンは言いました。
慣れない土地での暮らしが不安なのか? それともお妃選びが気にかかるのか 案ずるな 全てうまく行く 父上も考えがあってお前を呼んだのだろう
ソンオンはソウンを励まします。
世子様はどんなお方ですか? お兄様はお親しいとか
ソウンは訊ねました。
世子様は王にふさわしい方だ 聡明で落ち着いていて芯がある強い方だ また懐が深く誰に対しても優しい きっと良くしてくれるだろう
ソンオンは優しくソウンに話します。
女性というものは婚姻を前に心が乱れるとか お前もそうなのだな
男性は違いますか? お兄様はどう・・
ソウンは顔を曇らせました。
申し訳ございません 確かお兄様の許婚は亡くなったと・・
誰もが皆死んだと言っても、私は何故か生きている気がする
ソンオンは微笑みます。
世間の皆は許婚が私を裏切り男のために家族を殺したと言うが、私は噂を信じていない
何故信じられるのです? 特に深い話をしたこともなく家同士が決めた婚姻なのに
婚姻を約束したら誰を信じる? 世の中を信じるか、それともその相手を信じるか 私は信じていたいのだ
ソウンはソンオンを見つめます。
世の中の人が皆あの人を悪く言う せめて私だけでも信じたい
今でもその方を待っているのですか
そうだな 私は今でもその人を待っている
ソンオンは答えました。けれどソウンは言います。
仮にその方が生きていて・・それなのにお兄様を訪ねて来ないなら、ひょっとしてお兄様のもとに戻る気がないのかも・・
ソウンはソンオンの寂しそうな表情に気づき言葉を止めました。
ああ・・申し訳ありません! よく知りもしないのに
お前の言う通りかもしれない 生きていれば顔くらい見せるだろう それすらしないということは・・あの人はもう戻る気がないのかもしれない
お兄様・・
***
シム・ヨンが何故ヒ素を入れたのか、黒幕がいるのか突き止めねば それがわかれば世子様に呪いの書を送ってきた者もわかります
王宮に戻りながらジェイはファンに言いました。
解決しても兵士長のところへ行かぬならチャン・ガラムを連れて開城に戻るのか
ファンの問いにジェイは足を止めました。
ミン・ジェイに戻っても開城には帰りません
どうして?
家族と暮らしていた家に一人で住むのは寂しすぎますから カラムにはいい結婚相手を探して私は都で一人暮らしをします
ジェイはファンに心の中で呼びかけました。
(都にいればいつか一度くらい王様になられた世子様を拝見できるでしょう お姿を拝見できるならどんな遠くからでも私は駆けつけます)
一人で暮らして何をするつもりだ?
ファンは問いました。
たまに萬研堂に行き主の相棒になるのもいいですね 事件を解決したり、誰かの無念を晴らしたり・・子供達に諺文を教えるのも楽しそう 漢字とは違って簡単だし、家が裕福でない子にも教えたいです 王様になられたら援助をしてくださいませんか
ハッ
ファンは笑いました。
都で一人暮らしをするとは どんな家に住みたいのだ?
藁葺の家でも狭い家でもかまいません だけど庭に梅の木が一本あったらいいなと思います
ジェイは微笑みます。
一人暮らしをしたらたまには私を思い出すか
東から日が昇ったら思い出します 世子様は東にいらっしゃいますから 日は毎日昇ります きっと毎日世子様を思い出すでしょう
ジェイはファンを見つめます。
世子様もたまには私を思い出しますよね?
まあ・・たまには思い出すかもな 慌てて走る内官を見かけたり口の悪い内官に会ったり、目上の者に食ってかかる礼儀のなってない内官を見たら ・・そちを思い出すだろう
ファンはジェイに笑います。
フフフ
ジェイも笑い返します。
***
食堂のマンドクはたくさんの生活用品を買い込んでいました。
どうしてそんなに買うんだ? また故郷に送るのか? いったい家族が何人いるんだ
店の主人が訊ねます。
ほっといてくれ
マンドクは主の問いを突っぱねます。
***
マンドクが道を歩いていると法務長官のウォノの輿が通ります。
法務長官様のお通りだ〜 道を開けよ〜
マンドク達は道の両側に退きました。ウォノは通りながらマンドクの顔を見咎めます。
お前、そこの男!
ウォノは輿から降りてマンドクの前に立ちました。そしてマンドクの顔をジロジロながめます。
お前、私に会ったことは?
先日市場で陶磁器が割れた時に・・
それじゃあない!
ウォノはわめきます。
卑しい私めが長官様にお目にかかるなど・・
そうか? どこかで見たんだがな ・・まあいい どこにでもある顔だからな
ウォノは輿に乗り行ってしまいます。マンドクはホッとしました。
***
ファンは王に呼ばれ、婚姻を急ぐと告げられます。
父上、慎重を期すべきかと・・
そちの妃にハン一族の娘を迎える
ファンは驚きます。
そちは左議政親子の忠誠心を誰よりも知っているはずだ またハン一族は清廉潔白で王に忠義と誠を尽くす臣下であり欲深いチョ一族とは違う
ですが・・結局ハン一族も権力を持てばどうなるか・・
そちが王になるには後ろ盾が必要である 毒をもって毒を制す これもまた政だ 今この国においてチョ一族に立ち向かえるのはハン一族だけだ
王は語り続けます。
坡州でそちを矢で射た者の背後に本当に右議政がいるなら、あの者達はそちを廃位させミョンアン大君を世子にする野心を露わにしたのだ そしていずれ王座につかせこの国の政を意のままに操るつもりだろう そちが王にならなければ国の行く末は危うい 婚姻はそちのためにも国のためにも必要なことなのだ
王はファンを見据えます。
ハン一族と手を組め そちが王になるにはその方法しかない わかったな
***
ジェイは「忠誠試験」に合格した褒美を王から貰います。
すごいな 高級な御菓子だ
合格者達は喜びました。
世子様と一緒に食べよう
ジェイはファンの居室に持って行きます。
***
ファンはジェイのために買った腕飾りを池に投げ捨てました。お付きの内官や女官達は驚きます。
何をお捨てになったのですか
ソ内官が訊ねます。
私の心だ
ファンは答えました。お付きの者達は俯きます。
チェ尚宮、そちは兄上にもお仕えしていたな 兄上は私情に囚われそうになった時どうなさっていたのだ?
ウィヒョン世子様は王になられる身であることを肝に銘じておられました 民にとって王は天も同然だと常にご自分を厳しく律しておられました
そうか・・
ファンは池を見つめます。
私情を捨てたのだ 口に出せない気持ちなど意味がない 渡せない物を持っていても仕方ないだろう ・・これで終わりにしよう
***
ファン達が東宮殿に戻ろうとしているとソンオンがやってきます。
ちょうど伺うところでした ご報告が
ファンは人払いしてソンオンと話します。

<画像出典>kankoku-entame.com/ourbloomingyouthsongwon-7658
オ・マンシクの兄嫁は既に引っ越し家には別の者が住んでおりました その者の話では開城に行くと言っていたそうです
またも開城か・・
オ・マンシクも荷物を送っていましたし開城と何か関係がありそうですね
ファンは頷きます。
わかった ご苦労だったな
ソンオンは頭を下げた後で言いました。
お元気そうで何よりです 怪我の具合はどうですか?
かなり良くなった
さっきコ内官がいませんでしたが足は大丈夫なんでしょうか
ソンオンはファンの不思議そうな顔を見て付け加えます。
坡州で足に傷を負ったのです それでも必死に世子様を探し回っていました ご存知だったかと・・
ファンは顔を強ばらせます。
***
ジェイは褒美のお菓子をファンの机に置きました。そして座って予行練習を始めます。
世子様、これは王様に賜ったお菓子です すごいでしょう? 今日は私がご馳走します こんなに特別なものを一緒に食べようと持ってきた気持ちがわかりますか?
するとファンが帰ってきたのでジェイはお菓子を机の下に置きました。立ち上がりファンにお辞儀しますが、ファンは怪我を黙っていたジェイを怒っていました。ファンは不機嫌に机の前に座ります。
私が戻って来るまでに墨をするようにと言ったはずだが?
ファンは小言を言います。
あ、はい すぐにやります
ジェイは墨をすり始めました。
王様から特別なお話でも? お戻りになられてからちょっとご様子が・・
婚姻についての話だった
ジェイは驚きます。
ああ・・、婚姻・・
私に伝えたいこととは?
ファンは訊ねました。
は?
そちが坡州の診療所の納屋で言っていた それを今ここで言ってみよ
それは・・
ジェイはあのとき瀕死のファンに自分の気持ちを伝えようとしていました。
(婚姻を控えた世子様に言えることじゃない)
何故黙っているのだ
もう忘れました
ジェイは嘘をつきます。ファンは眉をひそめました。
坡州で足をケガしたそうだな 何故何も言わなかった?
私はよくケガをしますので気にして頂くまでもありません
私が気にしてもしなくても訊ねたのだから話すべきだ しかもそちは嘘をついた ケガはしていないと
世子様は生死の境を彷徨っていました こんなささいな傷で泣き言を言えと? 何故過ぎたことに難癖をつけるんですか
難癖だと?
ファンはムッとします。
過ちを指摘されたら「申し訳ございません」と言うものだ 生意気な奴だな 墨をするのを忘れていたくせに
ジェイは俯きます。
絶対に私に謝らない気だな 全く意固地な奴だ
ファンが舌打ちしたのでジェイは袖をまくり上げました。
なんだ?
墨をすります 筆をお持ちください
ファンは筆を取ろうとしますが、ジェイのすった墨が指に飛びました。
あ! 申し訳ございません!!
ジェイは手巾で拭こうとします。しかしファンは手巾を取り自分で拭きながら言いました。
もうよい 今日はこの辺で下がれ
ジェイは机の下の菓子を見ます。
今はまだ・・世子様のおそばにいる時間ですので・・
そちがここにいると不愉快だ
え? ・・どこが不愉快なんですか?
そちは・・お喋りでうるさい いつも私に同じことを二度も三度も言わせる 不器用で失敗が多く主の言葉に耳を傾けず自分の意見を通そうとする
ジェイはファンの話に呆れます。
ひどすぎませんか? 私は今まで心をこめて・・
それに女性としての徳を一つも備えていない 酒を飲むし口の利き方もなっていないし、恥ずかしげもなく下品なことを口にして、その上内官姿で想い人がいるなどと・・ そして危険を顧みず無茶なことをする! だからケガをするのだ!!
ファンは攻撃を止めません。
足やら顔やら体中傷だらけではないか! そちを案ずる私の言葉は頑として聞かず兵士長のもとへも行かないし、一体想い人とは誰なのだ!?
何故そんなに気になるのですか? 嫁がせようというのですか
ああ! そやつのところへ行け!!
ジェイは閉口します。
私を徹底的に傷つける気ですね ・・まだ他にありますか
そちは
ジェイは身構えます。
何よりそちは・・
ファンは顔をそむけます。
そばに置くには美しくない
は? 顔にもケチをつけるんですか? そうです! 私は不細工ですから慕っているマヌケな方にも嫌われているようです
・・もう下がれ
ファンはジェイを睨みます。
下がれと言ったらさっさと下がれ!
ジェイは立ち上がるとファンの前に座り、お菓子を乗せた盆を出しました。
忠誠試験に合格した内官に王様がくださったお菓子です 世子様と一緒に食べようと食べるのを我慢して持ってきましたが、突然私の欠点を指摘なさってさっさと下がれとおっしゃるので失礼して書庫の掃除でもしてきます お一人でどうぞ
ジェイは居室から出ていきます。ファンは暗い顔でお菓子をながめました。
***
ジェイは書庫の拭き掃除をします。
婚姻についての話だった
ファンの言葉が胸を突きます。
婚姻だなんて
ジェイは力なく床に座ります。
そうか・・世子様はまもなく結婚されるのだ・・
ジェイは重い息を吐きました。
はあ・・
***
内務長官の娘の葬式が行われます。ウォンボ達チョ一族の高官たちが親しい内務長官のアン・イルナム宅を弔問に訪れました。
お越し頂きありがとうございます
イルナムはウォンボ達に礼を言います。
王様が一月喪に服すようにとおっしゃった ひとまず休んで・・
文部長官のチョ・ウンユンが労わります。
いえ、お妃選びも始まるので長く休んでいるわけには参りません
さぞ辛いだろうがあまり気を落とさずに
ウォンボも話しました。
おそれ入ります
イルナムはウォンボに頭を下げます。
***
ミョンジンとガラムも萬研堂で線香を立てて亡くなった内務長官の娘を悼みました。
袖振り合うも多生の縁だ あっけないものだな あれほど婚姻に野望を抱いていたのに どうか安らかに
安らかにお眠りください
二人は頭を下げます。
***
ファンはソ内官から内務長官の娘の様子を聞きました。
では結局内務長官は娘の検視をしなかったのか 女性が亡くなると体を見せたくないからと検視を拒むということはよくある
・・ですがそうなると死者の無念を晴らす術がなくなります
ソ内官は言いました。
そうだな・・
ファンが頷いているとテガンが部屋に来ました。
***
テガンはパク・ハンスについて報告します。
パク・ハンスがチョ一族と言ったのか
はい、確かにそう言いました 他の補佐官はチョ一族だったのでもっと大金を受け取ったと 金の出どころは右議政様のようですね
ただ金を渡しただけではないだろう 十年前碧川で起きたことと関係がありそうだ
右議政様に話があると 世の中がひっくり返るすごいことだと言ってました
十年前右議政から金を受け取った証拠を探せ 見つかったら私がその者に会いに行く
はっ
テガンは頭を下げます。そしてファンに問いました。
世子様、碧川の真実を何故追求なさるのですか? 知ったらどうなさるのです?
間違ったことがあれば正すべきではないか? 罪がなければ無実を証明してやり苦しんだ者がいれば慰めてやらねば また罪に問うべき者がいるなら裁かなければならない
ファンは強い口調で言いました。
それからもう一つ 家を一軒探してくれ
家ですか?
場所は萬研堂に通いやすい所がいい 子供に字を教えるから板の間は広く明るいのがいい 女性が安心して暮らせるよう隣の家の者も調べよ
テガンは不思議そうにファンの命を聞きます。
そして、東から日が昇るのがよく見える家だと良い
はい 世子様
それから庭には梅の木が欲しい もしなかったら美しい梅の木を植えておいてくれ
承知しました
テガンは居室を出ていきます。
***
ジェイは部屋でシム・ヨンの腕輪と自分の腕輪を見比べます。シム・ヨンの腕輪には毒をいれる仕組みはありませんでした。
私の腕輪だけ作りが違う
ジェイの脳裏にシム・ヨンが腕輪をくれた日のことが浮かびます。
あの時から私達家族を殺そうと思っていたんだろうか・・
ジェイはシム・ヨンの笑顔を思い出して涙ぐみます。
***
ミョンジンは「開城殺人事件」、「四方位殺人事件」、「宋家滅亡」などと書いた紙を板の衝立に貼ってながめます。そして「世子様」と書いた紙を指して心の中で呟きました。
(世子様は穴を掘れないパク殿だ)
世子様が幽閉されている間パク殿も来なかった そしてコ内官は・・
ミョンジンはコ内官が粘飯法を知っていて驚いたことを思い出しました。
コ内官は開城のミン・ジェイだ
食器を洗っていたガラムが部屋に入って来ました。
またそんな紙を見てるんですか
お前も見てみろ 見逃していることかないかどうか
ガラムは貼られた紙の前に立ちます。
う〜〜ん?
ガラムは「世子様の使い」と書かれた紙を指しました。
そうだ 使いの人ですけど開城でチェイお嬢様が見た顔は萬研堂に運ばれてきた遺体の顔ではなかったそうです
・・どういうことだ?
実は開城でチェイお嬢様が見たのは・・あの〜時々世子様のお使いで来る護衛官様だったと
護衛官?
ミョンジンは黒い服に編笠で町を歩いていた護衛官のテガンを思い出しました。
だけどその時護衛官様は王宮にいたと もっと変なのはビラが撒かれた日私達を襲ったあの覆面の者もあの護衛官様だったそうなんですよ チェイお嬢様もまだ混乱しているんでしょうね 一人が同時に別の場所にいるはずないのに ・・分身の術とか?
ガラムは首を傾げます。
ミン・ジェイさんが萬研堂に来たのか?
ミョンジンはガラムに訊ねました。
え?
違うならどこで使いの遺体を見た? それにあのビラが撒かれた日、チェイさんがどうやって覆面男の顔を見たのだ?
ミョンジンの問いにガラムは戸惑います。
どうやって見たんでしょう・・? フフフ 私にもわかりません 私はコ内官に聞いたので
ガラムは笑ってごまかし、筆を取りました。
今のことは私が書いて貼りますよ
ミョンジンは字を書いているガラムをながめてニンマリします。
(お前はチャン・ガラムだな ミン・ジェイさんの侍女だ)
ミョンジンは心の中で呼びかけました。
***
ジェイが王宮を歩いているとウォンボが笑いながら近づいて来ました。
コ内官ではないか 久しぶりだな
あ・・はい
ジェイは眉を寄せます。ウォンボは探るようにジェイを見ました。
元気にしていたか? 東宮殿の居心地は悪くないか
・・はい、私は東宮殿が好きです
ジェイが答えるとウォンボは勢いよく笑いました。
東宮殿が好きなのか〜 世子様が好きなのか?
ウォンボは訊ねます。
え? 嫌いな内官が何処にいると・・
なるほど!
ウォンボは手を叩きます。
世子様が好きなのか〜 もちろんそうだろう ああ! そうだ 当然だな ハハハ
右議政様、用事がございますので失礼致します
ああ、そうか さあ 早く行くが良い
ジェイはお辞儀をして歩き去ります。ウォンボは辺りを見回してからジェイの手配書を出しました。
下手な絵だな これではわかるわけはないだろう
ウォンボはジェイの去った方をながめほくそ笑みます。
***
王妃とハヨン王女はミョンアン大君のところへ向かいます。
うわ言を言って食べたものを吐いているとか
ハヨン王女は心配して言いました。
本当にどうしたらいいのかしら
二人とお付きの者達は急ぎます。
***
ハヨンは弟の大君に食事をさせようとしますが大君は吐きそうになります。
一口だけでも食べて
ハヨンが匙を向けるのを王妃は止めました。
もうやめましょう 食べても吐いてしまうし・・ 無理に食べさせなくてもいいわ
王妃は息子を諭しました。
大君、このままでは体がもちませんよ
ハヨンは尚宮達に下がるように命じます。そして大君に聞きました。
何をそんなに怯えているの? スモモの木が燃えたのは亡霊ではなくて人間の仕業よ お兄様が明らかにしてくれたでしょ
でも姉上・・ 私は人も怖いです 人にできないことはありません 人がスモモの木を燃やしたなら私のことも殺せますよね、母上・・
王妃は泣いている大君の頬を撫でました。
何故そんな風に考えるの? そんなことは絶対に起こらないわ 心を強く持って
お母様の言う通りよ お母様と私 そしてお兄様、王であるお父様もいるのに、誰があなたに危害を加えるの?
しかし大君は幻か何かを見たように急に怯え始めます。
ねえ? どうしたの 何を見ているの? ほら、私を見て
ハヨンは弟を落ち着かせようとしますが大君は首を振りました。
違います 兄上 私じゃありません
兄上って誰が見えているの?
王妃は訊ねます。
私は知らなかったんです 兄上がお薬を飲まれていることを知りませんでした 桃を食べたら死んでしまうことも知らなかったんです
・・大君?
知ってたら、・・知ってたら桃を差し上げませんでした
なんですって?
ハヨンと王妃は青ざめます。
母上、私なんです ウィヒョン兄上に桃を・・
王妃は息子の口を塞ぎました。
何を言ってるの? 命を落とすことになるわよ!
その時居室の外でアン尚宮が告げました。
王妃様、王様がお越しになりました
ああ・・ どうしたら・・!
扉が開き王が現れました。王妃は絶望します。
***
ファンはテガンが探した家にやってきます。門を開き中に入ると梅の木を見上げました。
ファンは梅の木に花が咲きジェイが子供達に文字を教えている姿を想像します。
女性の姿のミン・ジェイは楽しそうに子供達と笑っていました。ジェイはファンを見て微笑みます。
東から日が昇ったら思い出します 日は毎日昇るのできっと毎日思い出すでしょう 世子様もたまには私を思い出しますよね?
ファンはジェイの幻に呼びかけます。
チェイよ 私も毎日そちを思い出すだろう 私は書庫に行けばそちを思い出しそちが過ごした部屋でも思い出すだろう 東宮殿の居室でも思い出すだろう 背が低く痩せた内官を見ても、着替えをしている時も、王宮を歩いていても思い出すだろう

<画像出典>k-drama.ch/ourbloomingyouth-ep11/
チェイよ ここで暮らし始めたら私は王宮に一人残る そちが離れたら私は誰に思いを打ち明け誰に頼ればいいのだ
誰が私を笑顔にするのだ・・
ドラマの感想
ファンはとっくに自分のジェイへの恋心に気づいていたんですね。でも自分は王座に就く身で自由な恋愛は出来ない、浮ついた気持ちでは厳しい王座を維持できないと固く心に決めているんでしょう。王様になれば側室も娶れるのだからジェイもそばに置くことが出来ないわけではないと思うのですが純粋なファンはそんな風にジェイを扱いたくないと考えているんでしょうか。でもジェイもいじらしいくらいファンに恋しているのでなんとか二人の恋愛が成就すればいいなあと思います。

<画像出典>ameblo.jp/hypervivi/entry-12788048993.html
第15話はミョンジンの鋭い洞察力が光った回でした。ミョンジンは縁談相手にコケにされたり、母親にほうきでぶたれたりと三枚目なキャラですがここぞという時に天才的な閃きを持つ並々ならぬ能力を持った人。ファンが王になったらミョンジンを高官にして国のためにその力を存分に使って欲しいと思います。それにしてもガラムが女だとわかってミョンジンはどうするんでしょうか😐。
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