こんにちは。カナエです。今回もBSJapanextの韓国ドラマ「スノードロップ」(第20~22話)について書きたいと思います。
チョンヤに懐柔されたブノクは寮長を銃で撃つ
ドラマのキャストとこれまでの話
ドラマ(第20~22話)のあらすじ(ネタバレ)
チョンヤはスホ(チョン・ヘイン)の腕の傷の手当をします。
危険を顧みないのは相変わらずね
スホは視線を落としながら言いました。
チャン要員を呼びます ”逆らえば殺す””金を渡せば北は黙る”と脅してきたのはナム・テイルです
それで?
チャン要員に指示しました 我々を殺そうとしている証拠を掴めと
チョンヤは眉を寄せます。
党は”生還を保証する”と 党を疑うの?
党への忠誠心を利用して疑いを否定するのはおやめに
チョンヤは驚きます。スホは「ハン教授を拉致する命がけの企てが南の政権維持のためだったことに失望した」と話します。
青酸カリで死んだパク同志も隅島で死んだ工作員達も自分達の命が南の政権維持に使われるとは思いもしなかったはず
党に巨額の資金が入る 亡き同志達は共和国の英雄に・・
カネが入り英雄になれば亡き同志の家族は裕福に でも我が子の犠牲で得た富を喜ぶ親がいますか?
チョンヤは黙ります。
私は生きて帰ります ウンチョルも生きて母親の元に戻らねば だからこそ知りたい 北南がどんな取引をしたのか その大金に我々の命も含まれるのか 必ず突き止めます
チョンヤは腕を組んでスホを見つめます。
私は誰の指示でここに来たと思う?
チョンヤは「大統領の寵愛を受ける与党の事務総長ナム・テイル、次々大統領候補の指示だった」と語りました。
彼の主治医となり、彼を骨抜きにするまで17年もかかった
スホは俯きます。チョンヤは身を乗り出しました。
そんな私に党は危険を顧みず寮に入りあなたを生還させろと命じた そんな党があなた達を捨てると思う?
スホは沈黙します。
これ以上疑うことは許さない
チョンヤは指示しました。
脱出の首謀者を寮長室へ 今すぐ
***
スホはガンムと寮長を連れてきます。チョンヤはガンムに訊ねました。
私の正体はどうやって知ったの?
隠し部屋を見たならわかるだろ?
盗聴? 女子大の寮長が学生達を盗聴し安企部に報告を?
チョンヤは寮長を見ました。
孤高の寮長が何故安企部の手先に?
安企部がよこした医者がスパイとは
寮長は言いました。
その方が驚きです
チョンヤは笑いました。
8日後には解放する予定だったのに 正体がバレたから党はどうするかしら どんな指令がくだされると思う?
学生を殺す気か?
ガンムは問いました。
口封じには殺すのが手っ取り早い
寮長が断じます。
でも永遠に正体を隠せるとでも? 私のようにいつかバレます そして思うはず ”何のために生きたのか”と 罪のない学生を殺しても虚しさに苦しむだけ
チョンヤは立ち上がり寮長の顎を掴みます。
<画像出典>k-drama.ch/snowdrop-11-12/
死に直面してもきれい事をほざけるかしら
なあ、脱出を主導したのは俺だ 寮長は反対してたんだ
ガンムが寮長を庇います。するとスホがガンムに言いました。
黙れ 殺すならお前からだ
チョンヤはスホに命じます。
二人を地下室に
***
ガンムと寮長はヨンロ(ジス)の縛られている地下室に連れて行かれます。スホは二人を鉄の仕切りに縛りつけました。
韓国中央医療院の外科長がスパイだったとはな
ガンムは縛られながらスホに話しました。
彼女は正体を隠すために人質を殺すだろう
スホはガンムを睨みます。
わかっているのに脱出を?
お前は話が通じないから
余計なことを!
スホは叫びヨンロを見ました。それから再びガンムに言いました。
お前のせいで人質が危険に
ヨンロはスホを見つめます。
ヨンロを助けたいだろ 俺もそうだ 人質を殺したくないよな
ガンムはスホを説得しようとします。
医者も今は北を信じているだろうが工作員の命を売ったと知れば考えが変わるはず ハンナを呼べば証拠も掴める
スホは寮長を縛り直すと上がって行こうとします。
信じられるのはあなただけ 学生達を助けて
寮長はスホに請いました。
彼らに罪はないことはわかるでしょ?
スホは眉を寄せて階段を上ろうとしますがヨンロのそばで立ち止まりました。
助けて お願い
ヨンロはスホに頼みました。けれどスホは黙って階段を上ります。
***
スホは廊下でヨンロが投げたネックレスを拾います。そしてポケットに入れました。その時部屋から頭に包帯を巻いたウンチョルが出てきました。
組長同志!
ウンチョルは鼓膜に穴が空いたと話します。
聞こえないのは一時的だそうです
良かったな!
スホは声を張り上げました。
迷惑ばかりかけて面目ありません!
いや! ウンチョル、腹が減ったろ? 食べたいものは?
食べたい物ですか?
ウンチョルは考え込みます。
丸鶏の煮込み・・いや結構です!
ウンチョルは笑いました。スホはウンチョルの肩を叩きます。
待ってろ 食べさせてやるから
いいえ! 平気ですので!
スホはウンチョルに微笑みます。
***
ビデオカメラ?
チョンヤはスホに訊ねました。
34人全員の無事を確かめたいそうです ビデオカメラを届けると
チョンヤは戸惑います。
カン同志の正体はバレないようにします
チョンヤは飲んでいたコーヒーカップを置きました。
届けさせて ただしチャン・ハンナ以外で
彼女でないと・・
警告したはずよ
けれどスホは主張します。
私は組員の命を預かる組長です 党を疑うなと言われても確認すべきことはします
チョンヤはスホを睨みます。そして銃を取りました。
どうしても?
スホはチョンヤを見つめます。
答えなさい!
しかしスホは部屋を出ようとします。するとチョンヤはドアの縁に銃弾を撃ち込みました。スホは振り向いてチョンヤに体を向けます。チョンヤはスホを狙いますが撃とうとはしません。スホは黙って部屋を出ていきました。
***
スホは電話でテイルと話します。
チャン・ハンナにビデオカメラを持たせろ
チャン・ハンナ?
アン局長が指でバツマークを作り小声で言いました。
カル記者と捕まりました
今現場にいないから他の要員に行かせる
駄目だ チャン・ハンナをよこせ
おいおいそんなに気に入ったか
テイルは笑います。
30分後に祠堂で
30分で行けるかよ 1時間だ カン先生をしっかり撮れよ
スホは電話を切ります。
また先に切りやがった ムカつくな
テイルはぼやきます。
***
ハンナは鉄格子から出されます。後輩が一緒に車に乗ろうとしますが、ハンナは一人で行ってしまいました。
クソ!
後輩は悪態をつき見送ります。
***
チョンヤはスホの行動に腹を立てていました。そこへギョクチャンが人質の名簿を渡しに来ます。チョンヤは名簿をめくりシワだらけのブノクの名簿に目を留めました。
ブノクは電話番だったの? 人質の監視役にピッタリ
たかだか30人です 私が・・
あなたはイム同志の監視を
チョンヤは考え込みながら命じます。
始末すべき時は指示してください
チョンヤは驚きます。
そういう意味じゃない
密命を受けました 常に監視し疑わしい時はためらうことなく殺せと
殺せと? 思想性の監視ではなく?
反逆者になる可能性が高いと
誰が?
・・国家保衛部チェ・スリョン副部長です
チェ・スリョン副部長が?
ヤツも気づいているようですが私の前でウン・ヨンロを何度も庇いました
わかった
チョンヤはブノクの名簿を投げます。
連れてきて
ギョクチャンは出ていきます。
チェ・スリョン副部長・・ イム・スホの指導部でもないのに
チョンヤは訝しがります。
***
”牡丹峰1号 正体発覚 要 保安措置”
チェ・スリョンは報告を読むとイム・ジロクに話しました。
正体を隠すには人質を殺すしかありません しかし南は人質の無事を条件に3億ドルを渡すと
ジロクは窓から外を眺め笑いました。
我々が南の言いなりになったことがあるか? それに彼らの目的は選挙の勝利で人質の救出ではない
息子のせいで革命的判断ができないようですね
ジロクは振り向きます。
なんだと? 大統領選まで統戦部長はこの私だ 党の決定を・・
東側陣営が危機的状況の今、失敗すれば我が党は窮地に立たされる イム部長が統戦部長でも実質的な責任者は私です それが党の決定です
な、何を・・
ご子息はご心配なく 祖国のために散れば英雄の称号が与えられる そうなれば部長同志は任務に失敗しても免責に 喜ぶべきでは?
ジロクはスリョンに近寄ります。
息子を殺し免責を喜べと? 寮にいる工作員が同志の息子でも同じ決定を下せるか?
もちろん 主体朝鮮の革命戦士としてこの上ない栄誉の死です
スリョンは部下に命じました。
大同江1号に無線を ”牡丹峰1号を守るため大統領選の前日に人質を殺せ”と
かしこまりました
ジロクは無言で部屋を出ていきます。しかしその目は笑っていました。
***
ブノクが寮長室のチョンヤの所に連れてこられます。
普通の人は工作金には手を出さないはず お金が必要なのね
すみませんでした お許しください
ブノクはチョンヤに謝りました。
生きたい?
ブノクは必死で頷きます。チョンヤは笑いました。
じゃあ今からあなたが人質を管理して
ブノクは驚きます。
私が・・ですか?
チョンヤは椅子から立ち上がりブノクに歩み寄ります。
これは命令よ あなたに選ぶ権利はない
ブノクは目を伏せながら語ります。
姉がいました 国費で留学するほど優秀でした 両親は姉ばかり可愛がってたのに、留学先のドイツでスパイ・・
ブノクは口をつぐみます。
いえ、北の人に取り込まれてスパイの罪で取り調べを受け死にました
チョンヤはブノクを見つめます。
父はショックで倒れ7年も入院してます 先生に強力して私もスパイで捕まったら・・
ブノクは泣き出します。
私に協力してもバレないから安心して
・・学生達が知るのに?
チョンヤは微笑みます。
心配ない
ブノクは顔色を変えます。チョンヤはブノクの肩に手を置きました。
あなたの労働の対価として チュ同志
チョンヤはギョクチャンに命じました。
10年分の給料を
ギョクチャンは頷きます。チョンヤはブノクに銃を渡しました。
これがあなたを守ってくれる
***
ブノクは自分の部屋で貰った札束を見ながら考えます。
みんなを殺す気なのね 私がこの提案を断ったら・・ 私も殺される
ブノクはお金をベッドに隠します。その時トイレから持ってきた寮長のトランシーバーが落ちました。ブノクはトランシーバーのスイッチを入れてみます。
***
局長、ライン川です
ブノクが連絡したのは安企部でした。部下がアンにトランシーバーを持って行きますが、アンはテイルに激怒されている最中でした。
チャン・ハンナはまだか? 何故着かない?
10分前に正門を通過したそうです
遅いだろうが!
テイルはアン局長の足を蹴ります。
部下の管理もできないヤツがカメラの前では図に乗りやがって
テイルはアンを叩きます。
局長、ライン川です
部下はアンに再度声をかけました。アンはびっこを引きながらトランシーバーを取ります。
ピ寮長
わ・・!
ブノクはトランシーバーを放りだします。
なんだ?
トランシーバーの声に怯えてブノクはスイッチを切ります。
私が話しているのに切るとは! ふざけるな
アン局長は怒りますが、テイルがたたみかけました。
さっさと連れてこい!!
アン局長は慌てて詰め所を出ます。
ブノクは息を吐いた後で呟きました。
これはピ寮長のなの?
***
ハンナは止めてあった車に乗り隠しておいたテープを取り出します。そしてデッキに入れると懐にしまいました。
もしやヨンロさんのため?
地下室でガンムは寮長に話します。
会長の娘を守るために盗聴室を作って”デモに参加しないよう””監視報告しろ” そんな風に安企部に脅されたのでは?
先生、そうなんですか?
ヨンロは訊ねます。
まさか 理解は結構です 原理原則にこだわる女が実は安企部の手先だった それが事実です
だけどデモをしてた学生も見逃していたでしょう?
寮長は残酷な過去を思い出します。
寮長はアン局長から拷問を受けていました
復唱しろ 混乱はスパイを呼び安定は繁栄を呼ぶ
血だらけの寮長はダムの上の建物の柵の外に立たされていました。少し動けばダムに落ちます。寮長は手を合わせ恐怖に震えていました。
しつこい女だな まだわからないか 我々がスパイと言ったらスパイなんだ 裁判は形だけだ
アン局長は寮長の体を押し出します。
平壌に行ったよな? 恋人と
寮長は首を振ります。
お前だよな
アン局長は寮長を突き飛ばし縛った腕を掴みました。
ああ!
<画像出典>k-drama.ch/snowdrop-11-12/
答えろ! 恋人と平壌に行ったのはお前だろ?
寮長は下を見て目をつぶり観念しました。
答えます 全部話しますから!
寮長は恐ろしさで泣きわめきます。
何もかも話します!
寮長は目を潤ませます。
安企部と忌まわしい縁があるようだ・・
ガンムは言いました。すると寮長はガンムに目を剥きます。
縁? 悪魔との縁ですって?
ガンムは寮長を見つめました。
スパイに仕立て上げ2人も殺したのにヤツらは勲章と報奨金を手にした! 国家に忠誠を尽くした証に!
国家に・・
ガンムは悲しげに頷きます。ヨンロは涙をためて寮長を見つめました。
私を一番拷問したヤツが私が釈放された日人々の前で涙を流した 今のあなたのような表情で
寮長は顔を逸らして嗚咽します。
***
ブノクは赤いドレスに帽子を被り着飾った姿で人質の前に立ちました。
今日からケ・ブノクがあなた達を管理監督する
チョンヤが人質達に告げました。
あの子が?
人質はざわめきます。
黙れ
ギョクチャンが銃で床を突きました。
ケ・ブノクの言う事には必ず従うこと 逆らえば私への不服従とみなし容赦なく殺す
チョンヤはブノクの肩を叩くと礼拝室を出て行きます。
毒蛇みたいな女だな
ギョクチャンもウンチョルに言うと出ていきました。人質達は頭に置いていた手を下ろします。
ブノクさん、まさかスパイに寝返ったの?
ジョンミンが訊ねました。
寝返る? 口を慎んで 寮長の代わりに管理するの
皆は忍び笑いをします。ヘリョンが高く笑って言いました。
何が管理よ
ブノクはヘリョンに近づきます。
スパイの手下になるとはね 盗みとは次元が違う 私達が解放されたらあんたは刑務所行きよ 家族は石を投げられる
ブノクはヘリョンの頬をはりました。
何するのよ!
立ち上がったヘリョンにブノクは銃を向けました。ケガをして座っていたウンチョルが立ち上がります。
ええ 確かに私は泥棒よ 男達に貰った指輪の一つくらい 履きもしない靴の一足くらい
ブノクは銃でヘリョンを小突き座らせました。
一度着ただけのブランド服くらい 罪悪感なしに盗む泥棒女
開き直るわけ? 自慢のつもり?
ヘリョンは怯えながら抗います。ブノクは寮生を見回しました。
あんた達にとって私は電話を取る機械よね 感情も欲もない物のように扱われてきた 大学生じゃないからって
私達がいつ?
誤解よ
寮生達は言います。ブノクはヘリョンに銃を向けました。ヘリョンは手をあげます。
これはお返しよ 人間でもない電話番にやられる気分を味わって
ヘリョンはブノクを見上げます。
それでこそ公平よ でしょ? コ・ヘジャ
ブノクは皆に言い渡しました。
みな下を向け!
みなは一斉に頭に手を置き下を向きます。ブノクは勝ち誇ったように笑いました。
***
カン先生も含め人質全員撮って
ハンナはカメラとビデオテープをスホに渡しました。
1時間で
無線を待て
スホはハンナを見ます。
証拠は?
ハンナはポケットからカセットデッキを出しました。
まずはチーム長に会わせて
婚約者は無事だ
少しだけ 命がけで入手したのよ
スホは行こうとします。ハンナはスホを止めました。
わかった 渡せばいいんでしょ
スホは差し出されたデッキを取ろうとしますがハンナは離しません。
このせいで今取調室で1人死にかけてる 賢明な判断を あなたに渡すのは青酸カリで死んだパクとは違うと思うからよ
スホはハンナを見つめデッキを受取ります。
***
スホが階段を上ろうとすると縛られているガンムが呼びかけました。
なあ、ヨンロさんと寮長には水くらいあげたらどうだ? 縄を解け
スホは無視して階段を上がります。ギョクチャンが降りてきてスホに告げました。
カン同志がお呼びです
無線を打っていく
スホは地下室を去ります。
***
”北も了承したろ スパイを全員殺して人質を救出することを”
スホは何度もテープを巻き返します。そして考えました。
父さんが解任されていたら? そうに違いない 別の人の決定だ 父さんじゃない
スホは顔を手で覆います。
スホは北の本部と交信しようとします。そこへチョンヤが来ました。
何してるの?
保安措置を求める無線を送ったのですが、応答がないので再送信を
重要なこどだから議論が長引いてるのね そうだ 党も安企部長の娘のことを?
知ってます
無線から音がしたのでスホは数字を書き出します。
***
チャンスは部長室に戻ると北に電話しました。
ウン・チャンスです 寮にいる娘のことですが、解放するよう工作員に指令を出してください
先にこちらが要求します 3日以内に3億ドルを
スリョンは言いました。
何ですと? 工作が終わってからのはず
3日以内に送らないと人質は死にます
何? 正気か?
お忘れなく 3日です
スリョンは電話を切ります。
***
スホは無線の暗号を解読します。そしてペンを置きました。チョンヤは解読したメモを読みます。
”選挙前日 人質を全員射殺”
チョンヤはメモを見て微笑みます。
***
チャンスは何度も北に電話しますがもう繋がりません。
クソッタレが!
チャンスはヨンウとヨンロの笑う写真を見て頭を抱えます。
どうすれば・・
***
スホは無線でイム・ジロクの地位を確認していました。
父さんはまだ統戦部長だ ついに俺を捨てた?
スホは子供時代に母親に捨てられ路頭に迷ったのをジロクに救われたのでした。
平壌まで乗せてください 妹の調子が悪いんです
スホはジロクの車の運転手に頼みました。
運転手は妹を見て困惑しますがジロクは無情に命じました。
出せ 時間がない
はい
運転手は車を出そうとします。しかしスホは食い下がりました。
父は崩れた坑道で死にました 父の代わりに母なる党が妹を助けてください
スホはジロクの窓に来て頼みます。
平壌まで乗せてください ご恩は必ず返しますから お願いです 助けてください
ジロクは線路の縁で寝ているスホの妹に目をやり窓を開けました。
絶対に恩を返します!
恩返し? どうやって?
何でもします 死ねというなら死にます
ジロクは笑ってスホを見つめました。
目を潤ませスホは顔を上げました。
***
スホは地下室に下りるとガンムに話しました。
お前が正しかった
ガンムはスホを見ます。
俺は必ず生きて帰る
スホはガンムの縄を解きます。
組員を死なせない
オーケー 全員が助かる方法を探そう
ヨンロは寮長と顔を見合わせます。ガンムは寮長の、スホはヨンロの縄を解きました。
残りのスパイを制圧できても新政権の樹立に必死な安企部に勝てる?
寮長はガンムに問いました。
全員が生き延びるには挑むしかない
学生達を救います
スホは言いました。ヨンロはスホを見つめます。
残りを制圧するまでここにいろ 上がってくるな
ヨンロはスホの言葉に頷きます。
***
ブノクは見張りをしているギョクチャンにヘリョンに持たせたお菓子を差し出します。
部屋にお菓子があったの どうぞ
組長同志とカン同志にも
ウンチョルが言います。ブノクは笑って言いました。
心配しないで食べて
ウンチョルは頷いてソリが持っているお菓子を取ります。ブノク達3人がお菓子を食べるのを人質達は羨ましげに眺めました。
美味しそう・・
マンドンが倒れそうになるのをサンボムが支えました。
根性の腐った女め! 年配者に食わせるべきだろ
黙れ! 大声を出すな
ギョクチャンが怒って菓子をぱくつきます。ブノクはギョクチャンに笑いました。
ああ、なんてこと どうせなら満腹になって死にたいよ
食堂のおばさんが嘆きます。
もうペコペコだ
ブノクはシン・ギョンジャを呼びました。
ちょっと来て
ギョンジャが立ち上がるとブノクは菓子の袋を差し出します。
持って行って
ギョンジャはおばさんとサンボム、マンドンの座る席にお菓子を持って行きます。するとグァンテが立ち上がりました。
魅力的で思慮深いブノク様 私達にもお恵みを パンくずでもいいので頂けませんか
神のご加護を
ビョンテも立ち上がります。ブノクは二人を見て可笑しそうに笑いました。
<画像出典>k-drama.ch/snowdrop-11-12/
ユン・ソリ、みんなにお菓子を配ってあげて コ・ヘリョン、私をただの電話番だと言ったあなたは食べないで
ヘリョンは悔しそうにブノクを見ます。
***
スホは軍資金と武器の入ったリュックを担いで来て銃をガンムに渡しました。ガンムは縄を持って寮長室に向かいます。ガンムが部屋に入るとチョンヤはビデオテープの整理をしていました。
おなかがすいたでしょ 食べ物を要求しないと駄目ね
チョンヤは顔を上げずに言いました。ガンムはチョンヤの頭に銃を突きつけます。
立て
チョンヤは立ち上がり手をあげます。そこにスホが入って来ました。チョンヤはスホを見つめます。スホはチョンヤの脇に入れていた銃を抜きました。
クソッたれ
チョンヤは毒づきます。スホはチョンヤを椅子に座らせ縛りつけます。
***
ブノクはお菓子を持って寮長室の前に来ました。そして開いた扉から仲間割れが起きたことを目撃します。
祖国を裏切るの?
党は我々を南朝鮮に売った 生還させると言ったのに
この裏切者! 党を侮辱する気?
ブノクはギョクチャンに知らせようと急ぎます。しかしスホはブノクの靴音に気づきました。
***
ブノクは礼拝室に来るとギョクチャンに囁きました。
イム・スホが裏切って安企部の要員が先生に銃を・・
銃?
先生がイム・スホに向かって”裏切者”と
人質を見張ってろ
ギョクチャンは寮長室に向かいます。
手を頭の上に 下を向け!
ブノクは人質に命じるとウンチョルに言いました。
ウンチョルさん、人質を見張ってて
ブノクも寮長室へ走ります。
***
ギョクチャンはそっと寮長室に近づき銃を向け入ろうとします。するとスホが飛び出してきて格闘になりました。二人は睨み合いますがガンムが後ろからギョクチャンの頭に銃を突きつけます。二人はギョクチャンを部屋に入れ椅子に縛りました。
スホは二人にハンナのテープを聞かせます。
スパイを殺すと言ってる 党は我々を殺すことで南と合意した 一方で我々には生還させると
任務に失敗した時点で自爆すべきだった
ギョクチャンはスホに話します。
任務? 誰のためのだ 何のためのだ? チュ同志、党は革命のために南を倒せと命じながらその選挙工作のために我々を見捨てた
民族解放 人民民主主義革命 忘れた?
チョンヤがスホに訊ねました。
革命じゃなくてカネのためだ カネと引き換えに国に忠誠を誓う工作員の命を南朝鮮に売り渡した それは絶対に許せない
誤解するのもわかる 裏切られたと でも家族がいる 私達の帰りを待つ家族のことを考えないと こんなことはやめて 妹のスヒのためにも
スホはチョンヤを見ます。ネックレスをくれた妹を思い出し頭を垂れました。
無事に帰って来て 兄さん
スホの様子を見てガンムは密かに銃を手にしました。
チュ同志も私もあなたの過ちを党に黙ってる そうね、チュ同志
チョンヤはギョクチャンに言いました。
私はカン同志に従います
ギョクチャンは答えます。
だから解いて 家族と組員を守る方法を一緒に考えるのよ
ガンムは銃の安全装置を解除します。音に気づいたのかスホも銃を持ちました。
***
スホはチョンヤに北と交信するよう求めます。
我々が一緒に組員を守る方法があるのか自分で確認を 私を生還させるという指令がまだ有効か確認してみてください
スホはチョンヤに言います。ガンムは銃を脇に戻しました。
***
ヨンロは地下室でみかんの箱を下ろします。
みかんがありました!
寮長は喜びます。
まずは食べましょう あとでみんなにも
ヨンロは頷きます。するとブノクの声がしました。
ヨンロ!
ブノクが階段を降りて来ました。
***
ブノクはギョクチャンが捕まったのを見てヨンロを利用しようと考えたのです。
スパイを制圧したから上に来て
ブノクはヨンロを誘いました。
本当に?
ヨンロは駆け寄ります。
早いわね 確かなの?
信じられないなら先生はここに
案内して
ブノクはヨンロの手を引きました。
行こう
ブノクはヨンロを連れて階段を上がります。
二人とも・・
必要品を入れたみかんの箱を持って貰おうとした寮長は二人がいないのを見て仕方なく自分で持って歩き出します。
***
部長同志
イム・ジロクは部下に呼び止められ牡丹峰1号からの無線の解読文を渡されます。
”命令はまだ有効か?”
解読文にはそう書かれていました。
***
チョンヤは北からの無線を解読します。スホはチョンヤの書いたメモを読みました。
”大同江1号を排除せよ”
スホもチョンヤも沈黙します。
***
自分の手を引いて歩いて行くブノクにヨンロは訊ねました。
ブノクさん、何処へ?
ああ・・ あっちに集まってるみたい
ブノクは指さして寮長室に向かいます。
***
早いうちにお前を殺すべきだった
ギョクチャンはスホに言います。
おい 同志を殺すなんてよく言えるな
ガンムがギョクチャンを睨みました。
”同志”? こいつは反逆罪を犯したんだ 同志なもんか! 敵に魂を売ったクズ野郎め
ギョクチャンの声を聞いてヨンロは驚きます。
今の声は?
寮長室にいるのね 行ってみよう スホさんもいるわよ
いいえ 地下に戻りましょう
地下に行こうとするヨンロをブノクは突き飛ばしました。
ブノクさん・・?
ブノクはヨンロに銃を突きつけます。
大人しく寮長室に
***
”他の命令に従うな”
スホは指令を読みました。
他の部署が私を救えと言っても殺せということだ
<画像出典>k-drama.ch/snowdrop-11-12/
チョンヤは沈黙を守ります。
カン同志の所属は? 選挙工作は統一戦線部の仕業だ これもイム・ジロク部長の指令ですか?
その時ヨンロを引っ立ててブノクが部屋に入って来ました。ブノクはヨンロの頭に銃を向けます。ガンムとスホは銃を取り出しました。
先生とギョクチャンさんを解放して
一体何を・・?
ガンムが近づこうとするとブノクはヨンロに銃を押し付けます。
聞こえないの?
スホは銃を向けながらブノクに向かいます。
動くな 一步でも動いたら撃ってやる
銃をよこせ
ブノクは銃の撃鉄を起こします。それでもスホが近寄ると銃をヨンロの首に当てました。
大丈夫
スホはヨンロに囁きます。
人を殺したことは?
スホはブノクに聞きました。
引き金を引けば終わる
いいや 終わるものか
スホは語ります。
殺した相手の目が脳裏から離れない 命が消えていく目が・・ 食事をする時も眠る時も夢の中までつきまとう 一生追いかけられて苦しむことになる
ブノクは泣き顔になりました。
俺はみんなを救いたいんだ カン同志とチュ同志を説得してる 工作員も人質も全員を助けるために
するとチョンヤがブノクに呼びかけました。
ブノク、忘れないで 人質が全員死ねば私達は誰にも知られない 私ならあなたを守れる わかるでしょ?
黙れ
ガンムがチョンヤに銃を向けました。
イム・スホと安企部の要員に”銃を下ろせ”と言うわ もし2人が従わなければ撃って
カン同志!
スホが叫びます。チョンヤは立ち上がりました。
銃を下ろせ
座れ!
ガンムが声をあげました。
銃声で連中が突入してくる 建物の一部が壊れていれば制圧に3分とかからない
ガンムは銃を向けます。
君は逮捕される
突入はありえない
チョンヤは笑います。
今までなかったでしょ 3つ数えたら撃って
ブノクはヨンロの首を銃で押します。
1
ブノクさん・・
2
銃を捨てて!
ブノクはスホとガンムに命じます。
本当に撃つわよ! 出来ないと思う? 銃を捨てろってば!!
二人は床に銃を置きました。
ブノク、よくやったわ それでいい
チョンヤは褒めました。
じゃあ、ヨンロをこっちへ
ブノクは頷いてヨンロを離します。
よせ
スホが止めました。
下がってよ!
ブノクはスホに叫びます。
大丈夫だ ゆっくりでいい
ギョクチャンがブノクに話しかけます。ブノクは頷きますが、その時箱を持った寮長が部屋に入って来ました。咄嗟にスホとガンムは銃を拾います。寮長は重いみかんの箱を置いて腰を擦ります。箱からみかんがこぼれました。寮長は再びヨンロに銃を突きつけたブノクを見て仰天します。
ケ・ブノク、一体何を?
関係ない
その銃はどうしたの? 下ろしなさい
黙りな あんたの正体をバラすよ
何ですって?
時間がない 早くこっちへ
チョンヤが急かします。
俺達を解くんだ
ギョクチャンが命じました
なんてことを!!
寮長は叫びます。そしてブノクに近寄りヨンロを引き離しました。寮長は銃を握り自分の胸に押し当てます。
私を撃ちなさい
私が撃てないと?
ブノクは笑います。
先生が父を治してくれる これは絶好の機会なの 逃すわけにはいかない
そう それなら私を撃つのね
寮長は言いました。
撃ちなさい!!
<画像出典>k-drama.ch/snowdrop-11-12/
ブノクは寮長を睨みます。
スパイの真似事をしてお姉さんの二の舞になってもいいの?
ブノクは目を潤ませました。
姉はスパイじゃない・・
ブノクは銃を寮長の手から離しました。
スパイ呼ばわりするな!
ブノクは寮長に銃を向けて撃ちました。
***
ガンムが寮長を抱き抱えます。しかし銃には弾が入っていませんでした。
撃てない・・
ブノクは何度も撃ちながらチョンヤを見ました。チョンヤは呆れて椅子に座ります。
ブノクは銃を床に落とします。そして自分も膝をつきました。ブノクは重い沈黙の中で涙を流します。
***
チャンスはスリョンに電話していました。
この取引は互いの行動があってこそだ まず副部長が娘を救ってくれたら私は3億ドルを送金します
しかしスリョンは話します。
そちらのせいで我々の工作員が死に事が複雑になった あなたが部下を管理できていないせいです 3日以内に3億ドルを 送らなければ娘は死ぬ
スリョンは電話を切りました。チャンスは途方に暮れます。そして部下に連絡しました。
クォン室長は何処だ?
すぐに部下が来て報告しました。
昼食の時から連絡がつきません
企画調整室長が不在なのか?
すみません 急ぎなら支出官に・・
そんな金額では・・ ソウル市内を隈なく探すんだ
承知しました
部下は出て行きます。
***
詰め所でテイルはコード1からの電話を受けます。
確かか?
テイルは受話器をアン局長に向けました。
電話に出ろ 閣下が話したいそうだ
アン局長は目を丸くします。
私が? ・・何故??
(さっさとしろ)
テイルは小声で促します。アン局長は受話器を取り恭しく話し出しました。
お電話代わりました アン・ギュンヒです
息子から電話があってね テレビで君を見てわかったらしいが息子の尻拭いをしてくれたとか
アン局長はお辞儀しながら話します。
選挙を前にした大切な時期なので野党に弱みを握られてはなりませんので また国の英雄である閣下をお守りすることが安企部の最重要任務です
何を言ってるんだ 安企部は国の安全を確保して国民を守るのが仕事だろう?
コード1は語ります。
今後も任務に励んでくれという意味を込めて君を新たな役職に任命する 企画調整室長だ
アン局長は耳を疑います。
私が・・ですか?
アン局長は頭を下げました。
恐れ入ります! この身が滅びるまで忠誠を誓います!!
引き続き現場を頼むぞ 君は説得力があると妻が言ってた
光栄です! この命をかけて事件を解決致します
(おい、早く代われ)
テイルが催促しました。
***
閣下はなんだって?
電話が終わるとテイルはアン局長に訊ねました。
ただ・・閣下は企画調整室長を任せると
部下は驚きます。
いやあ! 安企部のナンバー2じゃないですか!
アン局長は部下を小突きます。
よせよ
おめでとうございます
閣下とななんの縁もないくせに 閣下夫人に情報でも渡したのか?
テイルは嫌味を言います。しかしアン局長は強気で反発しました。
発言は慎重に 閣下はデマに悩まされています 懇意の人を企画調整室長に置きカネと権力で安企部を牛耳ってると ご存知のはず 総長が誤解してはいけません
テイルはアン局長に笑いながら近寄ります。
調子に乗りやがって ずる賢いヤツだ 小バエじゃなくて大蛇だったか 大蛇を相手にするときは尻尾を踏んではならん
テイルはアン局長の頭を叩きます。
あた!
頭を持ち上げた時に・・
そして蹴りを入れました。
う!
容赦なく踏みにじるんだ
アン局長は足を擦って痛がります。
いいな!
***
姦通罪だと?
チャンスは部下に訊ねます。
クォン室長は数十件の銀行口座を別支店へ移動させたんです そこの支店長と・・
チャンスはコートを着ます。
今何処にいる?
夫人に訴えられたことによりホテルで現行犯逮捕されました 後任には極めて異例なんですがアン局長が任命されたそうです
アン局長が?
***
ミヘは夫の電話に仰天します。
あなたが企画調整室長になるの? なんてこと! 信じられない
ミヘは高笑いして喜びます。
あなたは出世運があると導師様も言ってたものね!
本当か?
アン局長は暗い車の中で話します。
じゃあ、導師様に聞いてくれよ ナム・テイルがくたばるかどうか あの野郎、またスネを蹴りやがった
あなた落ち着いて お金がすべてじゃない これから莫大なお金を自由に使えるのよ そのうちあなたにへつらうようになる じゃあね 導師様に電話するから
局長が昇進されたんですね
店員がミヘに言いました。
ええ、大出世だわ 企画調整室長はコード1の金庫よ
ミヘは導師に電話します。
まあ導師様、大当たりですよ 導師様の言う通りになりました ええ 明日伺おうかと
ソンシムが来てミヘの電話を聞きます。
ゴルフクラブを新調する頃だとか? 金製はどうですか?
ミヘは声をあげて笑います。
ええ それでは明日
ミヘは電話を切るとソファーに座るソンシムに笑いました。
いらしてましたか
相手は? 誰に金製のゴルフを渡すの? 賄賂を送ったら面倒なことになるわよ
ミヘは立ち上がります。
申し訳ありません ショッピングに行かないと あなたが奥様のフィッティングを
ミヘは店員に指示しました。
ちょっと! それはないでしょ! 彼女に任せるなんて
ソンシムは怒ります。
ミス・キム 奥様のフィッティングは・・あさってにずらして
ソンシムは呆れてミヘを見ます。
明日は忙しいから
ミヘはコートを羽織るとソンシムに笑いました。
では失礼
ミヘは出て行きます。
ちょっと! なんて態度よ! おかしくなった?
局長が企画調整室長に昇進したんですよ
店員が申し訳なさそうに教えました。
アン局長が企画調整室長に? 存在感ゼロのあの人が? それは大変!
ソンシムは慌てます。
スホは人質達に立てこもりの真実を説明します。
つまり政府は大統領選挙に勝つために北と組んで人質事件を利用してると?
マンドンがスホに訊ねました。
そうです 私はハン教授を北に亡命させようとしました みんなを殺すつもりもないし人質事件も想定外でした
スホは語ります。
意図せず追われるはめになりこんなことに
ハッ
ヘリョンがあざ笑いました。
散々銃で脅しておいて信じろと? すごく怖かった
そうよ
話がバカげてる
寮生達は口々に反論します。
”打倒共産党 北朝鮮を潰せ” そう習ったのに政府が北と手を組む? ありえない
ビョンテが抗います。
信じられないだろうが事実なんだ そうとも知らずに射撃班を突入させようと寮を脱出した時に発砲された
ガンムが明かすとみなはざわめきます。
まさか・・
耳の聞こえないウンチョルには話が伝わりません。グァンテに聞いても雑に教えるばかりです。
連中はむごいヤツラらよ
ジョンミンが立ち上がり語りました。
労働運動をした従兄は三清教育隊で死んだ 国民の命を軽んじてる 何でもするはず
ジョンミンはガンムを一瞥して座りました。ガンムは俯きます。
工作が事実だろうとどうでもいい 早く解放して
シン・ギョンジャが請いました。すると寮長が立ち上がります。
いざとなれば安企部は私達も殺すはず 選挙に勝つためなら30人の命なんてヤツらにはなんでもないの
するとサンボムが訊ねました。
それじゃ俺達が脱出したらチーム長のように撃たれるのか?
それを防ぎたい
ガンムが訴えました。
だから我々で自分の身を守るんだ 双方の上層部は我々の命なんかに関心はない
ヨンロは暗い顔で目線を落とします。スホはヨンロを辛そうにながめてから告げました。
残された日は8日 大統領選までにイ・チーム長と協力して助かる方法を探します これから寮の中で自由に過ごせます
みなは明るい顔になりました。
出入り口には罠が仕掛けられている 辛いだろうけど連中を倒すために協力しよう 1人で逃げ出すことはしないで欲しい
ガンムは頼みました。
寮長が学生達を監督してください
スホは寮長に請いました。寮長は頷きます。
待って!
ヘリョンが立ち上がりました。
罰すべき人がいる
ヘリョンはブノクを指さしました。
ケ・ブノクが銃を持って医者の子分になった
スホは寮長を見ます。寮長は俯きました。スホとガンムは礼拝室を出て行きます。
あの女は北に寝返って私達を銃で脅したのよ!
ヘリョンは叫びます。ヨンロはヘリョンの腕を掴みました。
ヘリョンさん、先生も知ってる
みなは驚きます。
そうなの?
ヘリョンは硬い表情の寮長の横顔をながめました。
じゃあ見逃すつもりなの?
先生、知ってるんですか
ジョンミンが聞きました。
盗みとは訳が違います
そうですよ!
みんなはブノクを糾弾します。ブノクは反抗的に目を光らせました。
黙って座りなさい
寮長は命じます。
今夜から2階の部屋で就寝を ルームメイトがいない人は4人で集まること
私は自分の部屋に
ブノクは言い出て行こうとします。
待ちなさい!
寮長は睨みました。ブノクは振り向きます。
私は従う必要はないでしょ
ブノクは言いました。
どこまで生意気なんだ
どうかしてる
皆はざわめきますがブノクは平然と出ていきました。
***
ブノクは自分の部屋に戻るとトランシーバーを取り出します。そしてスイッチを押してアン局長と話しました。
私は電話番をしているケ・ブノクと言います 重要な情報があって・・
ピ寮長じゃないのか 情報とはなんだ
アン局長は訊ねます。
私は安企部の味方です 私に何かあったら助けてくださいよ いいですね
わかったから情報とは何だ?
実はイム・スホと安企部のチーム長が
いきなり扉が開いてガンムがトランシーバーを取り上げました。そしてスイッチを切ります。
どうした? 全く・・
アン局長はトランシーバーのスイッチを切りました。
***
ガンムは扉を閉めてブノクをテーブルにつかせます。
おい いつから内通を?
ガンムはブノクを問い詰めました。ブノクは開き直ります。
今のが初めてですよ それは寮長の無線機でトイレで拾っただけ
スパイに寝返ったから保険が必要か? さっき銃弾が入ってたら寮長は死んでた ちっとも反省してないな
ガンムはブノクを睨みます。
寮長が頼まなければ監禁されてたんだぞ それなのにこんなマネを?
<画像出典>k-drama.ch/snowdrop-11-12/
寮長が私を監禁するなと頼んだの?
ガンムは椅子に座ります。
君はどれだけ罪を犯したと思う? 国家保安法違反 脅迫罪 銃の不法所持 それに殺人未遂まで
ブノクは唇を噛みます。
情報を流したところで助かるとでも? 1人でもスパイを捕まえれば昇進につながるんだ
私は無理矢理やらされただけです
また余計なことをしたらスパイとみなすからな 戻れ
ブノクは部屋を出ていきます。
***
寮生達は集まってテレビを見ます。テレビでは人質の保護者達が子供を帰すよう抗議運動をしている姿を報道していました。
娘を返して
あ、お父さんだ
寮生達は親を見つけて涙ぐみます。
ソリさんのお父さんも来てるでしょ? お義父様はどこかな?
ソリは父親の姿を見つけますがグァンテには教えません。
仕事が忙しくて来てないみたい
ソリは泣きながら言いました。
そう? 僕がいるから寂しがらないで
その時隣のヘリョンがテレビに映った母親を見て叫びました。
お母さん! やっぱり娘のことが心配なのね 痩せたみたい
ヘリョンは泣き出します。
うちのお母さんもやつれた
お父さんも
寮生達も涙ぐみます。
外に出ちゃ駄目かしら
安企部に撃たれると聞いたでしょ
医者がスパイだと知る私達を解放するはずがない
私達を助けるというのも信じたら駄目なの?
ヘリョンは不安に駆られます。すると隣のビョンテが肩を掴みました。
ヘリョンさんは今まで信じていたのかい?
今は安企部もスパイも信じられるものか
グァンテが話しました。
自分が助かりたいだけだ 俺達は弾よけかも
弾よけ?
皆は青ざめます。
***
”残忍な共産主義者のことを考えると胸が張り裂けそうです”
テイルはテレビで泣きながら話す保護者を見ながらアン局長に聞きました。
いい人選だ 練習させたのか
はい すぐにセリフを覚えてましたよ
”反共産主義を貫く保護者の姿は涙ぐましいものです 工作員や共産主義者が韓国に足を踏み入れないよう国民は力を合わせる時です”
アナウンサーは話していました。
そうだ 力を合わせないと
テイルは指を鳴らします。
支持率はうなぎ登りですね
アン局長はお世辞を言い、テイルは声をあげて笑いました。
そうだ 録音テープは?
テイルは思い出して問います。
カル記者がしぶとく耐えています 母親を脅すと言えば諦めるでしょう
アン局長は答えました。
***
ハンナを呼ぼう 協力が必要だ
ガンムはスホに言いました。
わかった だがカン同志がスパイということは内緒に
何故だ? カンの背後にいるヤツを調べないと そいつがわかれば勝利に近づける
万が一ナム・テイルに知られたら我々が勝つ前に人質が殺される
ガンムは目を見張ります。
ナム・テイル?
カン同志を送り込んだ
ガンムは戸惑います。
そこまで深く潜り込んでいたとはな 青瓦台の前まで迫ってる
ガンムはスホに訊ねました。
カンを説得できるか?
***
チョンヤとギョクチャンは柱に縛りつけられていました。ギョクチャンは見張りのウンチョルを怒ります。
お前死にたいか? 女に惚れた裏切り者に手を貸すとは・・
ウンチョルは松葉杖で床を叩きます。
何を言われても組長同志を信じます 私を救ってくれるのは組長同志だけです
おい、バカ 殴り殺される前にほどけ 早くしろ!
チュ同志 まだ聞こえてないのよ
チョンヤがなだめました。
***
”大同江1号を排除”しろ?
その司令はチョンヤに重く響いていました。チョンヤはスホに初めて会った時のことを思い出します。
チョンヤが雪山で足を滑らせて崖から落ちそうになったのを救ったのはスホでした。二人は雪道を歩き、歩けなくなったチョンヤのためにスホは雪を掘りテントを張りました。
<画像出典>k-drama.ch/snowdrop-11-12/
二人はテントの中で夜を過ごしますがチョンヤは寒さで凍えて消耗していきます。そんなチョンヤをスホは抱きしめて暖めるのでした。
別れ際お辞儀をして去ろうとするスホにチョンヤは訊ねました。
名前は?
工作員は名前を聞いてはいけない決まりです
スホは答えました。
私はカン・チョンヤ ”危機に備えよ”と祖父が付けてくれた 本名は違う
聞かなかったことに
チョンヤはスホの胸のネックレスを見ました。
その首飾りを売ってください 思想教育と特訓が終わればまたソウルに戻る それを持ってたら守られそう
しかしスホは言いました。
すみません 自分にとって命より大切な物なので
スホは会釈して行こうとします。チョンヤはスホの背中に呼びかけました。
もしも・・もしもまた会えたら恩返しをする 必ずするから
チョンヤは去って行くスホを見送りました。
***
チャンスに呼ばれたアン局長は車の中で二人だけで話します。
お呼びですか?
チャンスは周りを警戒しながら言いました。
これから話すことは暫く2人だけの秘密に
わかりました
明日企画調整室長に任命されたら秘密資金から3億ドルを工面してくれ
3億ウォンではなく? そんな大金を?
事件は選挙工作だと知ってるだろ 事業費として処理すればいい
分かりました
今度飲もう
チャンスは車から出ていきました。
***
テイルは詰め所でストーブでスルメを焼かせ酒を飲んでいました。
イカを裂いているのを見てるだけか 君は全く気が利かない 気ばかり強いだけだ
テイルは立っているハンナに怒ります。そこへチャンスが入ってきました。遅れてアン局長も来ます。
おっと また来たのか 家で休めばいいのに
ビデオカメラを
娘を見に来たのか
テイルはチャンスの部下に酒のカンを渡します。部下が開けようとするのをチャンスは止めました。
ビデオをよこせ
保護者達は落ち着かせたからビデオカメラさえ入手すれば・・
まだないのか??
ああびっくりした
テイルはぼやきます。
あいつらは俺の言う事をきかない・・
そこへスホから電話が来ます。
おい、いつまで待たせる気だ? ビデオカメラをよこせ!!
わかった チャン・ハンナを中へ
ガンムが食べ物のジェスチャーをします。スホはウンチョルが丸鶏の煮込みを食べたいと言っていたのを思い出しました。
(丸鶏の煮込みはあるか?)
スホは受話器を覆いガンムに小声で訊ねます。
(丸鶏? 参鶏湯みたいなのか?)
スホは首を傾げテイルに話しました。
鶏の丸焼きを50個
鶏の丸焼きだと? 正気じゃないな
テイルは呆れます。
爆発騒ぎのあとにどうかしてる
アン局長も賛同します。
怪しまれますよ 銃撃戦までしてチキンを差し入れるのは
部下も言いました。するとチャンスが口を挟みます。
記者を避ければいい
地下2階の非常口が使えます
ハンナも言いました。
***
狙撃手達は銃を構えるスホの足元にチキンの袋を置きます。
銃を置いて扉を閉めろ
スホに命じられてハンナは狙撃手達を締め出して扉を閉めました。スホが寮への扉を開くとサンボムやグァンテ達が出てきてチキンの袋を運びます。
チーム長は?
ハンナが聞くとガンムが扉を開けて現れました。ハンナはガンムに微笑みます。
でも、やっぱり変な感じ スパイと並んでいるのに何故か安心しちゃう
まずは食べよう
スホは気まずそうに言うと出ていきました。ガンムはハンナに来るよう合図します。ハンナはガンムに近寄って聞きました。
何故私が婚約者だと?
婚約したのは事実だろ
ガンムは先に歩いて行きます。ハンナは笑いを漏らしました。
覚えていたのね でも何故私を捨てたの?
***
寮長はカル記者の撮ったビデオを学生達に見せます。ビデオでは解放された人質達が目隠しをされ安企部に連れられていく様子が撮られていました。
みんなが・・
どうして?
学生達はざわめきます。
昨日解放された子達は安企部に連行された 人質事件が選挙工作だと納得したわね 安企部はスパイに怯える学生の姿を放送したいはず もし放送されたら視聴者はどう思うかしら?
極悪非道のスパイを倒そうと思うはずです
ビョンテが言いました。
その通り 反共意識が高まる すると与党が優勢となり私達はどうなると?
与党が優勢になるほど私達の命が危なくなる
ギョンジャが話しました。
そこで、ビデオで私達はどんな姿を見せるべき? 私が何を言おうとしてるかわかる?
はい!
学生達は答えました。
***
スホとガンム、ハンナはチキンを食べながら策を練ります。
テレビ局もいるから窓から”選挙工作だ”と横断幕を出すのは?
ガンムが提案します。しかしスホが反対しました。
北は俺が裏切ったと思い、俺の妹も同志達の家族も危険になる
それじゃ他に案は?
ガンムは問います。
録音テープをマスコミに流すのは?
ハンナが言いました。
テレビ局や新聞社には要員がいるぞ
直接局長に届ければいい 物証があれば見過ごさないはずよ ハン教授は拉致だと報道した局もあった ・・カル記者を助けるにはそれしかないかと
まずは試してみよう
スホが言いました。
オーケー じゃあ 複製を作らないとな
俺が作る
スホは並べられたヨンロのテープをながめました。その中にはスホの渡したテープもありました。ヨンロと出会った優しい時間がスホの脳裏に蘇ります。
***
スホは空だと思われるヨンロのテープで複製を作ろうとします。けれどテープを再生するとその中にはヨンロの声が入っていました。
一目惚れって…こういうこと? 彼を見た瞬間すぐに感じた
手が少し触れただけなのに心臓がドキドキ
これって初恋かな?
彼も紙飛行機が好きみたい・・
ヨンロは寝静まった207号室の布団の中でラジカセに囁いていたのでした。
私が紙飛行機を取られた時ものすごく残念そうにしてた 常緑樹レコードで・・ あの時ぶつかるなんて バカみたいに見えたかも
大丈夫よ 恥ずかしかったけどまた会えたから
ヨンロは笑います。
心臓がバンと破裂しそうだった これが運命の愛ってヤツかな
スホは両手で額を支えながらヨンロの声に聞き入ります。
ちょっと 運命の愛?
ジョンミンが帰って来てヨンロに微笑みます。
ジョンミンさん!
彼にぞっこんね
スホはテープを止めました。
ヨンロ・・
スホはテープにささやきます。
***
ビデオにはチキンを食べる楽しそうな様子の学生達が映っていました。
”チキンは2つめです”
”すごく美味しい”
”もうすぐ出られるから元気でいてね”
テイルはげっそりしてハンナに問いました。
チキンにがっつく姿を撮って来たのか?
私じゃありません 渡された物を持ってきただけです
テイルはソファーに沈み込みます。
あいつらはバカだな 銃を撃つ以外何もできやしない こんな映像は放送出来ないだろ
国防意識を高揚させるためなのに親を安心させるためだと言うから
アン局長が言いかけるとテイルは局長のスネを蹴りました。
あぁ・・!
そうとも! すべて俺のせいだ 全部俺が悪い! 企画調整室長、申し訳ございません!!
ハンナは痛がるアン局長を支えます。
局長、大丈夫ですか?
企画調整室長になられるんだぞ 大変悪うございました
テイルは頭を下げます。
部長よりも長く続く地位だ
***
207号室の英文科1年ウン・ヨンロです
チャンスはビデオでヨンロが話し出すと夢中で見入ります。
”お父さん、私達はなんとか元気に過ごしてます でもみんな外に出たがってる 私も必ず無事に外へ出たい 全員出られるよね? 外に出たら家に帰れるんだよね? そうでしょ お父さん”
チャンスは目を潤ませます。
ああ・・ これは・・
テイルは柱に縛られているチョンヤを見て声を震わせました。
カン先生だ 顔がやつれちまったじゃないか かわいそうに
泣き顔になったテイルを後ろからアン局長が睨みつけます。
***
縛られたチョンヤとギョクチャンの前でウンチョルはチキンをぱくついていました。スホとガンムが来てチョンヤ達を連れて行きます。ウンチョルは1人で食べながら呟きます。
南朝鮮のヤツらめ うますぎる
***
2人は地下室の仕切りに縛られます。ヨンロもチキンを持ってくるように言われて地下室に下りました。
ベテランの自分は党に見捨てられないと?
ガンムはチョンヤを縛りながら話しかけました。
まさか いつかは捨てられる
チョンヤは答えます。ガンムは驚きながら語りました。
亡命すれば安企部が守ってくれる 望むなら名前を変えて医師を続けられる
カン同志!
ギョクチャンが睨みます。
まずは野党が勝たないとね
チョンヤはガンムに言いました。ガンムはチョンヤから離れ台に座ると2人を見ながら説得しました。
これが選挙工作だと分かれば十分に勝算はある 国民が自ら投票するんだから 政権交代はありえる
ガンムは皆の顔をながめます。
革命とか任務とか・・そんなものに縛られず自由にならないか?
チョンヤはスホに顔を向けました。
コーヒーを貰えるかしら
スホは驚いてチョンヤを見ます。
カン同志? 何を?
ギョクチャンが問いかけます。スホが頷くとガンムがチョンヤの縄を解きました。そしてチョンヤを先に歩かせながら階段を上がって行きました。
カン同志! 祖国を裏切るのですか?
ギョクチャンは叫びます。
***
スホはギョクチャンと向き合います。
チュ同志 思想を変えるのは難しい
黙れ 北にいる家族よりもあの女を選ぶのか?
ギョクチャンはヨンロを見てからスホを嘲ります。
”イム同志は反乱分子になりかねない””思想が疑わしい時は殺せ” その指令に納得だ
私を殺せと命じたのは誰だ?
スホは問いました。ギョクチャンはスホを凝視します。
ここを脱出できても北に戻れないしこっちであの女と幸せにもなれない 祖国に追われ殺されるはずだ
スホは目を潤ませギョクチャンを仕切りに押し付けました。
答えろ 誰だ?
ギョクチャンは笑います。
誰でも関係ない お前は最初から捨て駒だった
スホは衝撃を受けます。そしてギョクチャンの襟を離し、力なく階段を上がっていきました。
あの・・
ヨンロは声をかけますがスホは屋上へ上がって行きます。
***
”お前は最初から捨て駒だった”
ヨンロは部屋に戻りますがスホの苦しみを思い心が痛みました。
ヨンロは包みを持って屋上に上がります。そして悲しげなスホの後ろ姿を見つめました。
ドラマ(第20~22話)の感想
ドラマの中でヨンロとスホの恋を表す甘い曲が流れても内容が緊迫し過ぎていてそんな悠長なことをやってる場合じゃなかろうが!という気持ちに観ている側も゙なってしまい、胸キュンどころじゃない展開を続けるドラマです。
<画像出典>momoruru.com/snow-drop/
もうそんな期待は捨ててハードボイルドな世界に浸り、今後の成り行きに注目した方が良いかもね。しかし悪役も含めて皆さん、演技上手で素晴らしい!です。「トッケビ」でサニーさんを演じたユ・インナさんもスパイ役を上手く演じていて美しさだけではなかったと感動しました💓。
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